『ハリー・ポッター』にも登場する“羊皮紙”、現実で作ると「めちゃ割高」だった!

完成まで、最低でも3週間かかる高級品
八木 健治 プロフィール

漢字では「羊の皮の紙」と書くが、使われていた動物は羊だけではない。仔牛や山羊も使われた。牧畜には地域的特性があるため、その土地で育ちやすい家畜が飼育されてその肉が富裕層の食卓に上り、皮はレザーと羊皮紙に加工されたのだ。仔牛はドイツなど欧州北方、山羊はイタリアやビザンツなど地中海沿岸、そして羊は欧州全域で羊皮紙として使われた。

今でこそ映画やテレビ番組、ゲームに登場する「アイテム」だが、羊皮紙は紀元前2世紀頃に生まれ、その後ヨーロッパを中心に約2000年間も使われてきた実用品だ。古代ローマの学者であり政治家の大プリニウスは、「羊皮紙はペルガモンで生まれた」と著書『博物誌』に記している。

古代世界の主な書写材であったパピルス紙を駆逐し、中世ヨーロッパでは煌びやかな彩飾写本の支持体として活躍した。人類史上における数多の聖典、英雄伝、国家の歴史が羊皮紙に記されてきた。

11世紀に製紙法がヨーロッパに伝わり、さらには15世紀にグーテンベルクが活版印刷術を発明したことにより、瞬く間に羊皮紙は衰退。しかしその後も、イギリスなどで契約書や公文書に使われてきた。現在でもイギリス王室など伝統を重んじるところでは羊皮紙が使われている。

イギリスの女王エリザベス2世[Photo by gettyimages]
 

毛に覆われた皮膚を「紙」にする

さて、そのような人間の歴史を支えてきたといっても過言ではない羊皮紙を、早速作ってみることにしよう。

まずは原料の調達だ。牧場で飼育された羊は、屠畜場で肉と皮に分けられる。肉はホテルやレストランへ供され、その余りの皮を使う。羊皮紙「だけ」のために羊の命を奪うことはない。そんなことをすると、そもそも牧場経営が成り立たない。

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