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「売れ筋ランキング」の投資信託を買った初心者が「だいたい失敗する」ワケ

プロは積立投資はしない
金融庁は2015年頃から「貯蓄から投資へ」あるいは「資産形成へ」と政策を加速し、将来の年金不安、老後2000万円問題などの解消を目的に、個人への資産運用の推奨を始めた。前回の記事『金融リテラシーが低い日本人が「投資に踏み切れない」歴史的理由』で、高度経済成長期からの歴史が日本人の金融リテラシーにどのように影響しているのかを述べた。日本人がより投資に踏み出しやすくするために、金融庁が推奨する政策のポイントの2つめのポイントである「正しい長期・分散・積立投資」について解説していきたい。

売れ筋・進められた投資信託が安心という勘違い

金融庁や全国銀行協会が推奨する「長期・分散・積立投資」はリスクを軽減し、長期投資を行うための投資手法として特に、堅実な考え方の40代以下を中心に浸透し始めている。

しかし、長期・分散・積立の意味を勘違いして投資を行っているケースも散見される。今回は、よく陥りがちで、間違った、あるいは正しく理解されていない長期・分散・積立投資(投資信託)を例に、長期の資産形成に通じる投資方法とは何かを解説したいと思う。

投資信託を買うきっかけ、あるいは決め手として「売れ筋ランキング」を参考にしたり、証券会社の対面で営業マンなどから勧められたりするケースが多いかと思う。みんなが買っているのだから安心という心理的な理由で購入する方が多いが、長期の資産形成にはあまりお勧めできない。

例えば、次の表はいわゆる売れ筋ランキングといわれる「2020年純資金流入額上位5ファンド」だが、1位と2位は発売されてから1年が経過していない新規設定のファンドである。

(モーニングスターのデータをもとにオリックス銀行にて作成)
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非常に不思議な現象だ。年金や金融機関などのプロの機関投資家が、投資するファンドを選ぶ場合、過去の運用実績を見ないで選ぶ場合は皆無である。プロ野球選手のドラフト指名で全く実績のない選手を選ぶようなものだ。指名しても活躍できない外れが多いのは当たり前である。

 

では、なぜ投信の「売れ筋ランキング」に無名の選手のような新規設定のファンドが連なるのか。理由は営業担当者が勧誘しやすく、買う方もわかりやすいから売れるのだ。AI、EV、ESG、モビリティ、デジタル、フィンテック、次世代医療など旬の儲かりそうなトピックや、バラ色の未来を想像できる「テーマ型投信」が多い。

今回のランキングでいうと、すべての企業の長期評価に必要と言われるESGですら旬のテーマにされてしまう。下記の表2でもわかるように販売手数料が2~3%と高い投資信託が売れている傾向であり、売りやすく、短期で新しいファンドを買ってくれる(乗り換えしてくれる)、つまり「販売会社が売りたいファンドがランキングしていることが多い」のだ。

表2.投資信託の平均販売手数料率の推移
(金融庁:令和2年7月3日、投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営モニタリング結果について)
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