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中国共産党創建100周年を迎える習近平政権が目指す未来

「もう一つの100年」まで残り28年

来たる7月1日に、中国共産党創建100周年を盛大に祝う中国。この牙を持った巨龍は、一体どこへ向かおうとしているのかーー。
5月11日に『中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平』(講談社学術文庫)を上梓した中国共産党研究の第一人者・天児慧早稲田大学名誉教授と、現代ビジネスコラムニストの近藤大介が、「巨龍の胎動」について、3時間にわたって対談した。今回は、3回シリーズの最終回「習近平篇」をお届けする。

【第1回】中国共産党研究の第一人者が語る「反逆者・毛沢東」の圧倒的な破壊能力
【第2回】毛沢東の中国を“別の国”へと一変させた鄧小平の「逆境者」人生

習近平の時代

近藤: これまで2週にわたって、天児先生の新著『巨龍の胎動』をベースに、話を進めてきました。1回目は、「新中国建国の父」毛沢東(もう・たくとう)。2回目は、「改革開放政策の総設計師」鄧小平(とう・しょうへい)です。この両雄の数奇な生涯を、知られざるエピソードの数々で振り返りました。

天児: 私は新著で、毛沢東を「反逆者」、鄧小平を「逆境者」と名づけました。この両雄の人生は、そのまま激動の現代中国史でもありました。

1949年に建国された中華人民共和国は、これまで計5人の「皇帝」を輩出しているわけですが、初代・毛沢東、2代目・鄧小平に続くのは、3代目・江沢民(こう・たくみん)と4代目・胡錦濤(こ・きんとう)です。しかし私の頭の中では、江沢民と胡錦濤は、鄧小平路線の後継者なんですね。

近藤: つまり、あまり個性的な指導者ではなかったということですね。同感です。時間の都合もあるので、二人は省略しましょう(笑)。

と言うわけで今回は、中国共産党が生んだ「3人目の怪物」、ではなくて強力な指導者、習近平(1953年~)の政治について論じていきたいと思います。天児先生の新著にならうなら、最終章の「第10章 習近平の時代と世界への挑戦」です。

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天児: この章の最初にも書きましたが、2008年に北京オリンピックを、2010年に上海万博を成功させ、中国は「胎動」の時代から「飛翔」の段階に入ったわけです。この2010年には、ついに1969年以来世界第二位の経済規模を誇っていた日本を抜いて、中国がGDPで世界第二位に躍り出ました。

そんな中国を率いていく新たなリーダーとして、2012年11月の第18回中国共産党大会で総書記(党トップ)に選出されたのが、習近平でした。毛沢東時代に副首相にまで上り詰めた習仲勲(しゅう・ちゅうくん)の息子です。

近藤: 天児先生の新著では、「站起来」(ジャンチーライ=立ち上げた)の毛沢東、「富起来」(フーチーライ=富ませた)の鄧小平、そして「強起来」(チアンチーライ=強くした)の習近平と、3人の時代を区分されていますね。まさに「強国」への道をひた走っているのが、いまの習近平の中国です。

天児: 習近平が中国共産党総書記に就任した時、初めての戦後生まれの最高指導者ということで、新時代の到来を予感させました。しかし実を言えば、中国研究者の間では、それほど強い指導者にはならないだろうとの見方が支配的だったんです。

習近平は江沢民と、その最側近の曽慶紅(そ・けいこう)元国家副主席の尽力でトップに上り詰めたため、江沢民の傀儡(かいらい)に過ぎないだろうという見立てです。

それでも私は、習近平はただ者でないと思っていました。当時の最高実力者である江沢民を巧みに利用して、世界最大規模(2019年末現在で党員数9191万人)の中国共産党のトップに上り詰めた男ですからね。

 

2013年3月に国家主席になった直後の初外遊に同行した人物にも聞いたのですが、「今度の新国家主席は『頂層設計』(ディンツァンシャージー=トップダウン方式)の指導者だ」と評していました。トップダウンで物事を進めていく力強い指導者だということです。

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