気にかかるのは子供たちのこと

こちらに来て驚いたのが、シンガポール政府の意思決定の速さだ。昨年12月から比較的緩やかなフェーズ3だったため、マスクの着用義務や1日に集まる人数の制限、出先でのQRコードを使ってのチェックインなどいくつかのルールを遵守すれば、外食や外出などが自由に行えていた。

しかし、5月中旬からフェーズ2に入り、一気に外食は禁止、飲食店はテイクアウトやデリバリーでの営業、外出できる人数は1グループ2人まで、そして学校のオンライン化など、その決定からわずか数日で施行された。人口の少ない国であることや、政府のコントロールが徹底されていることなど、理由はたくさんあるが、何しろその意思決定の速さに驚き、そしてまだ慣れない私はそのスピード感に若干戸惑っている。(編集部注:シンガポール政府によるフェーズの説明はこちら

母の日にお祝いしてもらったときの写真です。娘が企画してくれて飾り付けもサプライズでした。写真提供/福田萌
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もちろん、新生活に戸惑いはつきものだと思う。日本国内でも引っ越したての時はその土地にすぐには慣れないものだし、ましてや国外、ましてやコロナ禍、当然のことだ。しかし、その中でも一番気がかりなのはやはり子供たちのこと。

こちらのインターナショナルスクールに通い始めてから1ヵ月半が経過し、私は決して顔には出さないようにしているが、毎朝、少し不安な気持ちで子供たちを送り出している。英語ちゃんとわかるかな?教室ではどんな風に過ごしているのかな?寂しい思いはしていないかな?どんな気持ちで朝出掛けて、帰るまでどんな気持ちで過ごしているのかな? 頭の半分では「この経験を乗り越えて逞しく成長してほしい」というどっしりとした気持ちがあるものの、もう半分の「こんな過酷な環境に置いてしまってごめんね」という気持ちがどうしても拭えない。

学校の様子を事細かに聞いてみたいけど、子を信じて自分で乗り越えて欲しいという気持ちもあるからこそ、あまり多くは聞けない。私は明るく送り出し、明るく出迎えて、家の中では安心して心の羽根を休められるよう、穏やかでいるように努めている。鈍感な母だときっと子供たちは思っているだろう。だから、本当の私の今の気持ちは非常に歯痒い。