スマホ、SNSは「入り口」に過ぎない

学校での教育はひと通り行われているというが、それでも子どもたちのネットトラブルが減らないどころか、近年ますます増えているのはなぜなのだろう。

「SNS・ネット上のトラブル、とひと口で言っても、その内容は多種多様で、関係する法律もそれぞれ違います。いくつか具体的な例を挙げてみましょう。

1)SNSに裏アカウントで、友達の悪口を書いてしまった場合は、誹謗中傷や名誉棄損になることもあります。反対にその被害にあった場合は、情報の削除や相手を訴えるために発信者情報の開示が必要になります。
2)フリマサイトで商品を買おうとしてお金を振り込んだが商品が届かない場合は、詐欺被害にあたります。商品が来ても破損していたなどのトラブルは多発しています。コンサートチケットなどの場合は、チケット不正転売防止法に抵触する恐れも。
3)SNSで教えられた漫画の海賊版サイトで、無料でマンガを読んでしまったなど、著作権の侵害行為も多発しています。他人の制作した絵を許諾なく自分のSNSアカウントのアイコンにするのも著作権侵害
4)SNSで知り合った同性の友達に「見せて」といわれて下着姿の写真を送ったら、写真をバラまくと脅されたなどは、いじめの手口にも多い事例で、自画撮り被害と言われています。性的被害や脅迫につながったり、児童ポルノ禁止法やリベンジポルノ禁止法に触れる行為です。
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ある高校の先生は『以前の生徒指導対象は、校内暴力や喫煙・飲酒、いじめに始まり、ダイヤルQ2を介した性被害など多岐にわたっていたが、今はいじめ、生徒同士のトラブル、性被害や炎上騒ぎなど、生徒指導事案のほとんどにSNSがからんでいる』と語られていました。

しかしこれらは、ネットやSNSでのやり取りがたまたま入り口になっているだけで、問題自体はそれぞればらばらな事案で影響する法律も異なります。SNSやスマホはトラブルの主要因ではなく、様々な問題を媒介して、増幅させる存在なんです」(花田氏)

入り口に過ぎないスマホやSNSの使用を規制したからといって、様々なトラブル自体が解決するわけではないというわけだ。逆にスマホを取り上げるだけでは、真の原因を見失ってしまうことにもなる。

「ただし、ネット上やSNSでのトラブルは突然、そして非常に悪化してから発覚する特性があります。現実世界での事案以上に周囲の大人が気づきにくく、子どもも自分ではどうしようもなくなってから、親や先生に告白するケースがほとんど。その際も、子どもが事実を正確に告白するとは限りません。実際、トラブルの発覚は外部からの通報がきっかけの場合も多く、最悪の場合、子どもの自殺によって初めてトラブルを親や学校が知る、という場合もあります」(花田氏)

そこ、そこなのだ。情報モラル教育では、問題解決の手段として「信頼できる大人に相談すること」とあるのだが、一番に信頼されるべき私たち親が「アテにならない」と、子どもたちに見限られて相談してもらえないことが、事態を深刻化させる大きな要因になっていると感じる。

SNSでのトラブルは誰にも言い出せず、表面化しにくい。photo/iStock