JR山手線の高輪ゲートウェイ駅 Photo by iStock

JR東日本の新規事業「4年で実証実験92件、事業化41件」の奇跡

メンバーはたったの8人なのに
コロナ禍で本業消滅の危機にある業種、脱炭素で伝統的な手法そのものの見直しを迫られる製造業はじめ、今ほど大企業で新規事業が求められる時代はなく、その底力が発揮されればポテンシャリティは大きい。しかし、新規事業のプロから見ると、大企業の新規事業は失敗の繰り返しだ。その原因はどこにあり、どうすれば結果が出るのか。新規事業家の守屋実氏の著書『起業は意志が10割』からJR東日本の事例をご紹介しよう。

「よその会社はいいよなぁ」では何も始まらない

大企業での新規事業の事例をお伝えする。舞台はJR東日本。誰もが知る大企業だ。しかし、その大きさゆえに、自由が利きにくいという側面もある。そこで本体から新規事業を切り離す、「出島戦略」による新規事業の推進に乗り出した。JR東日本スタートアップ株式会社として現在4年目、それ以前の活動も含めると5年目を迎えている(2018年2月20日設立)。そして、コロナによる打撃をもっとも強く受けた業界の一社でありながら、今も新規事業創出の熱量が下がることはない。

ありとあらゆる一歩が重く、自由の利かない大企業の中においては、どうしても「うちの会社では無理」「よその会社はいいよなぁ」という発言につながりやすい。しかし、愚痴からは何も始まらない。ぜひ、JR東日本の躍進を参考に、あなたもあなたの環境の中で、新たな道を切り拓いていただきたい。

JRの現状に「このままではいけない」

最初にJR東日本の話を聞いた時、僕は非常に驚いた。経営陣の方々が、国鉄時代に会社を守りたいと奔走したけれど、それが果たせなかったという忸怩たる思いを今も持っていたからだ。彼らの言葉を借りると、「会社は一回潰れている」という。そのような原体験が残っているために、JRが置かれている現状についても「このままではいけない」と強く思っているというのだ。

 

我が国の大企業は、国力の成長鈍化に引きずられながらじわりじわりと衰退していった。そんな時期がもう30年も続いている。JR東日本も人口の減少に引きずられて、乗客がどんどん減っていくことが確実だ。そんな中で、鉄道業だけにかじりついていてはダメだという強い危機感を高めていった。

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