インスタで共感を集めた生き方が本に

ミュージシャン、文筆家の猫沢エミさんが50歳で上梓したエッセイ『ねこしき』。 ねこしきとは、猫式ではなく、「猫沢のしきたり」のことだ。ここには50代を迎えた猫沢エミという一人の女性が3匹の猫と暮らす日々の中で湧き上がるさまざまな心情とともに、自身が生きていくために毎日作り続ける「生活食」がセットになって登場してくる。

たとえば、忙しくて疲れ果てて、もうぐうの音も出ないときでも、これなら作れるという「キャベツぎゅうぎゅうスープ」なるものも登場する。本の副題ともいえるフレーズには「哀しくてもおなかは空くし、 明日はちゃんとやってくる。」とある。そう、食べることは生きること。だから日々の料理と人生は切り離すことができない

ページをめくりながら、「うん、わかる、わかる!」「ふーん、なるほど」と思う言葉や、「お、これ作ってみたい」と思う料理に付箋を貼っていたら、読み終わった時には本が付箋だらけになっていた。

写真/鈴木陽介『ねこしき』
著書には猫沢飯のレシピも。こちらは「キャベツぎゅうぎゅうスープ」。写真/鈴木陽介『ねこしき』

実際、出版社にも「誰にも言えなかったこの気持ちを私の代わりに言ってくれてありがとう!」「猫沢さんのおかげで、心の中にあったモヤモヤが晴れました」といった、彼女の生き方に共感する多くの女性読者からのメッセージが寄せられているという。

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「もともとインスタグラムで日々のエッセイ的なものや、普段作っている料理の紹介をしていたのですが、それを見てくださっていたフォロワーさんの中に同世代の編集者さんがいて、“書いていることが心にストンと落ちてくるし、レシピと関連付けて、1冊にまとめてみませんか”と声をかけていただいたのがこの本を作るきっかけでした」と猫沢さん。
 
インスタグラムはSNSの中でも圧倒的にビジュアルが中心で、長文を載せる人は少ないツールだが、猫沢さんは始めた当初から日々の思いを長文で書き続けていた。

「スマホでインスタを見た時に、あの狭い画面の中で長文を読む人がどのくらいいるのかわからないけれど、読める人が読んでくださればいいや、という思いで続けていました。でも気がつくと、フォロワーさんの中でも文章を読むために私のアカウントに来てくれる人が、とても多くなっていたんです」