新型コロナワクチン、“打つ前”に知っておきたい「アナフィラキシー」のこと

正木 克宜 プロフィール

ワクチン接種時の心がけ

アナフィラキシーは一般的に原因物質にさらされた直後から30分以内に起きるため、接種後の観察期間として15分間以上(接種要注意者は30分間ほど)接種場所で待機することが大事だ。なぜならば、ここで症状が出現しなかった場合には即時型アレルギーやアナフィラキシーが起きる可能性はかなり低くなるからだ。

なお、新型コロナワクチンの接種後に限らず、アナフィラキシーが起きた際にはただちにアドレナリンの投与を行う*13

2021年5月2日現在までに国内で新型コロナワクチンによるアナフィラキシーが疑われた報告は3,823,386回接種中664件(100万回接種あたり173件)であり、そのうち専門家によりアナフィラキシーと分類・評価されたのは107件(同28件)であった。

この数字は既出の4.7回よりも多めであるが、これまでに日本で接種を受けた人のほとんどが医療従事者であり、米国でも医療従事者は非医療従事者よりもアナフィラキシーの頻度が高かったと報告されていることから*14「日本人ではアナフィラキシーの頻度が高い」と早急に結論づけることはできない。

なお、これらの症例のほぼすべてが軽快しており、アナフィラキシーが原因であると断定された死亡例の報告はない*15。したがって、万一症状が出現した場合でも接種会場で速やかにアドレナリン投与をはじめとする速やかな医療処置をすれば大事に至ることは極めて少ないと考えられる。

接種の数時間後や翌日から接種部位の痛みや発熱を生じることがあるが、それはアナフィラキシーではない副反応と考えられる。痛みや熱がつらければ解熱鎮痛薬を服用してもよい。その他、症状が重かったり長く続いたりする場合には、ワクチンの副反応以外の原因も考えて医療機関への受診を考慮する。もし新型コロナワクチン接種により健康被害が生じた場合には、予防接種法などに基づく救済(医療費や障害年金の給付)を受けることができる*16

 

新型コロナワクチンへの期待

現在、日本全国そして世界的にも3密回避やマスク着用、手洗いなどの感染防止策がとられる中でも、新型コロナウイルスの感染拡大は続いている。

新型コロナワクチンはその中でも流行の終息に向けて人類が手にした一筋の光であり、国民の約6割の接種が完了したイスラエルでは2021年4月22日に新型コロナウイルス感染症での1日あたりの死者数が約10ヶ月ぶりに0となった*17

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ワクチンの効果がいつまで続くのかということや、変異株への効果など、未だ不確定な要素はあるが、アナフィラキシーを含めた副反応への対応は可能である。記事冒頭に記した条件のような新型コロナワクチン接種ができない方を感染から守るためにも、この条件に該当しなかった方は積極的に接種を検討してほしい。

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