新型コロナワクチン、“打つ前”に知っておきたい「アナフィラキシー」のこと

正木 克宜 プロフィール

接種翌日の痛み・発熱はアナフィラキシーではない

一般的に新たに登場した医療行為が与える影響(効果や副作用)を評価する際には、その医療行為の後に生じたあらゆる好ましくないイベントをすべて「有害事象」としてカウントする。有害事象は、ワクチン接種と前後関係があるだけで、ワクチンが原因とは限らない。そして、有害事象のうち、医療行為の機序から因果関係が考えられるイベントを「副反応」と位置付ける。

中には当初は関係があると思われた副反応が、実は医療行為をしていない方にも同じ確率で出現するために無関係な有害事象であることが科学的に立証されることもあるし、逆に関係がないと思われていた有害事象が、医療行為をした方で高頻度に起きており、偶然では説明がつかない=因果関係があると検証されることもある。新型コロナワクチンではこのような検証がまだ現在進行中である。

新型コロナワクチンの接種後には50%以上の方に接種部位の痛みが生じ、10-50%の方に発熱や筋肉痛などが起きる*1。これらの症状の多くは翌日にピークを迎え、中には仕事に支障が出ることもあるため、できればワクチン接種の翌日は重要な予定を入れないようにしたい。

この発熱や筋肉痛は新型コロナワクチンの有害事象であり、副反応でもあると考えられる。また、新型コロナワクチン接種によるアナフィラキシーは投与してから数分から30分以内に起きており、接種との因果関係が考えられることから「副反応」とみなすのが自然だろう。ここで重要なのは有害事象、副反応とアナフィラキシーとの関係を正しく理解することだ(下図)。

筆者作成
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たとえば、コロナワクチン接種後に偶然、交通事故にあったとしてもそれは有害事象の1つに数えられる。一方で、新型コロナワクチンの接種部位が痛めば、それはワクチンによる副反応と考えるのが自然だろう。倦怠感もおそらく副反応であるが、一部の人では偶然そのタイミングで風邪をひいた可能性もある。

そして、副反応のうち即時型アレルギーであるじんましんや呼吸困難が出た場合には新型コロナワクチンによるアナフィラキシーの可能性を疑うことになる。もちろん、即時型アレルギーのようにみえても、呼吸困難・喘鳴がワクチンとは関係が薄い喘息発作であったり、嘔吐・下痢がアレルギーではなく急性胃腸炎や食中毒によって起きたりすることもあるかもしれない。

大事なことは接種後に起きた好ましくないイベントすべてがワクチンの副反応ではないということと、副反応のすべてがアナフィラキシーやアレルギーではないということだ。

なお、稀ではあるが接種後数日から2週間後に出現する遅発性の接種部位の腫れが報告されている*11。しかし、すぐに症状が出なかったこのタイプの副反応は即時型アレルギーではないため、アナフィラキシーとは関係しない。

そのため、1回目にこのような症状が出たからと言って2回目接種時のアナフィラキシーのリスクになるとは考えられていない。このようなとき、CDCでは規定通りのスケジュールで1回目とは反対側の腕に接種するように勧めているが*12、可能であれば2回目の接種を行うかどうかはかかりつけ医やアレルギー専門医(検索方法は後述)に相談した方がよいだろう。

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