新型コロナワクチン、“打つ前”に知っておきたい「アナフィラキシー」のこと

正木 克宜 プロフィール

注意しなければいけない人は?

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、日本に現在入ってきているファイザー社の新型コロナワクチン接種でのアナフィラキシーの頻度は100万回接種あたり4.7回であった*3。インフルエンザワクチンによるアナフィラキシーの頻度は100万回あたり1-2回なので*4、新型コロナワクチンではアナフィラキシーの頻度が高いように見えるが、抗菌薬など他の薬剤と比べると頻度は低い。

ではどのような人でアナフィラキシーが起きたのか。これまで述べたようにアナフィラキシーが起きるときには、投与以前に原因物質に対するIgEが体内で産生されている必要がある。初めて接種するワクチンであるのにアレルギーが起きてしまう原因としては、新型コロナワクチンに含まれる成分であるポリエチレングリコール(PEG)の存在が推定されている*5

新型コロナワクチンでのアナフィラキシーの90%以上が女性に起きているのだが、女性に起きる頻度が高い理由として化粧品に含まれるPEGが関与している可能性が考えられている*6

そのため、今までにアナフィラキシーを起こしたことがあり、かつその原因が化粧品であることが医療機関の受診で証明されたり強く疑われたりした場合には、専門医による適切な評価とアナフィラキシーなどの重度の過敏症発症時の十分な対応ができる体制のもとでない限り、新型コロナワクチン接種を避ける*7,8

PEGはその他、大腸内視鏡検査時に用いる下剤等の医薬品に含まれることがある。これらがどの薬品に含まれるかの検索方法については厚生労働省ホームページ「新型コロナワクチンQ&A」を参照いただきたい*9

 

花粉症・喘息・食物アレルギーでも接種可能

一方で、CDCや厚生労働省は新型コロナワクチン以外のワクチンや食物、薬剤、昆虫刺傷などにアレルギーがある方、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎の方でも新型コロナワクチンの接種は可能としている。

ファイザー社のワクチンや、最近接種が開始されたモデルナ社、当面、公的な接種には使わない方針となったアストラゼネカ社の新型コロナワクチンには鶏卵、ゼラチン、ラテックス、防腐剤は含まれていない。

ただしアナフィラキシーを過去に起こしたことがある方は接種要注意者として通常設定されている観察期間である15分間よりも長めの30分間程度、接種会場にとどまって経過をみることが推奨されている*7,10

また喘息のある方は、そのコントロールが不十分な場合にはアナフィラキシーを起こしやすくなるため、普段通りの喘息治療・管理を継続することが大事である。

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