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新型コロナワクチン、“打つ前”に知っておきたい「アナフィラキシー」のこと

「アナフィラキシー」の“正体”

「アナフィラキシー」という言葉がここ数ヶ月報道を賑わせている。ファイザーの新型コロナワクチン(商品名はコミナティ筋注)を接種できない方について、添付文書に以下のように記載されているからだ*1

【コミナティ筋注の接種不適当者】(予防接種を受けることが適当でない者)
・明らかに発熱している方(37.5℃以上が目安)。
・重い急性疾患にかかっている方
・ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴のある方
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある方
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まず、アナフィラキシーとは何かについて説明したい。「アナフィラキシーとはアレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応」と定義されている。

最も有名なのはハチ毒への反応である。「ハチ刺されは2回目が危ない」というのはよく知られる。1回目のハチ刺されでハチ毒が体内に入ったときに、IgEという免疫反応物質が体内で生成される。このIgEはハチ毒にのみ結合するタイプのものである。そして2回目にハチに刺された際には直ちにハチ毒とこのIgEとが体の中で結合し、その結合体が皮膚や気道、消化管など全身の至るところで「即時型アレルギー」と呼ばれる反応を起こす。

即時型アレルギーでは原因物質を体の外に出すような反応、すなわち皮膚を掻いたり、鼻水や涙が出たり、咳をしたり、嘔吐や下痢をしたりといった症状がみられる。さらにそれ以上の原因物質が入らないように粘膜を分厚くして防御する反応が起き、皮膚ではじんましんやまぶたの腫れが、気道では鼻づまりや息苦しさ、喘鳴(気道が細くなってヒューヒューと笛のような音が鳴る様)などがみられる。

【即時型アレルギーによる症状の例】
皮膚:かゆみ、じんましん
目:かゆみ、涙、まぶたの腫れ
気道:くしゃみ、鼻水、鼻づまり、咳、息苦しさ、喘鳴(ヒューヒュー、ゼイゼイ)
消化管:吐き気、嘔吐、下痢、持続する腹痛

即時型アレルギーを引き起こす原因物質には食物や薬剤など口から入るものや、花粉・ダニ・カビなど空気中に漂って吸入されるものなどがある。たとえば国民の約1/3が罹患しているスギ花粉症では花粉飛散期に目のかゆみや鼻水・鼻づまりが出るが、これもスギ花粉に対するIgEが産生され、目や鼻の粘膜でIgEと結合して反応が起きるために生じる即時型アレルギーの症状である。

この症状が複数の臓器をまたいで体のあちこちに出現することをアナフィラキシーという。つまり、アナフィラキシーは、1)急に症状がでる、2)急速に進行する、3)複数の臓器(皮膚、粘膜、循環器、呼吸器など)にまたがる、ということが特徴である。さらにその中で血圧低下や意識障害を伴った場合は「アナフィラキシーショック」と呼ばれる*2。こうなると生命に危機がおよぶため、速やかな診断と医療処置が必要となる。

【アナフィラキシーの特徴】
1)急に症状がでる: 数秒から数十分のうちに発症する
2)急速に進行する: 速やかな診断と対応が必要となる
3)複数の臓器にまたがる: 皮膚、粘膜、気道など
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