海外での代理出産は想像を絶する苦悩の連続

ミケルさんに、デンマークに住むゲイカップルが海外での代理出産を通じて子どもを持つプロセスを聞いたところ、その苦労の多さに圧倒された。ただでさえ複雑な代理出産だが、違法であるがゆえに、より複雑になっているのだ。これはデンマークに限った話ではなく、ほとんどの北欧諸国でも同様の状況だという。

まずは代理店と契約を交わすことになるのだが、デンマーク在住のゲイカップルが法律をクリアする国は、現在アメリカのみだ。かつては、価格の安いインド、タイ、ネパールなどでも外国人ゲイカップルの代理出産が許可されていたが、法改正により利用不可となった。そのため、1回の代理出産に100万クローネ(約1,700万円)前後の費用がかかるそうだ。

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代理店とのやり取りでは、膨大な事項を決めなければならない。代理母となる人物、卵子提供者、保険や支払いなど、一つひとつ慎重に検討する必要がある。

「通常、代理母と卵子提供者は異なります。代理母は親権を放棄する必要があるため、身ごもる子どもとの関係性が薄いほうが良いと考えられています。また、代理出産を利用するゲイカップルたちは、身体的な親にならないほうの男性に似ている卵子提供者を望むため、その条件が代理母と一致することはほとんどありません」

ゲイカップルと代理母は、互いの価値観や宗教等を照らし合わせてマッチングする。ゲイカップルは支払いが増えても、経験豊富で健康な代理母を望むという

代理店が代理母とゲイカップルの同意を確認すると、契約書が交わされ妊娠のプロセスがスタートする。

「ゲイカップルは精子提供のために渡米し、現地の医療機関で代理母への胚移植が行われます。帰国後は代理母が出産するまで10ヵ月待つのですが、その間は代理母とのビデオ通話やメールを通じて、出産のプロセスを頻繁に追跡します。時にはお腹の子どもと会話をすることもあります。代理母は一般的な出産時よりも高い頻度で検査を受け、こまめな報告が求められます」

分娩方法は、出産日を選べるという理由から帝王切開が一般的。ゲイカップルの多くは出産に立ち会うが、渡米前に大使館を訪れ、子どもの渡航証明書を手に入れる必要がある。子どもが生まれた後は代理母と子どもと数日を過ごし、手続きを終えて数週間後に帰国する。帰国後は、子どもと血のつながりがない片方の男性が、一定期間を経て子どもの後見人になるための養子縁組をすることになる。

ちなみに、代理出産のプロセスは代理店や渡航先の国、カップルの状況等によって異なるため、すべて同様のプロセスになるとは限らない。