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日本の信用が大失墜…いまだにミャンマー国軍に配慮し続ける「由々しき事態」

ミャンマー市民に勝機はあるのか

ミャンマー情勢の混乱は続いている。

国軍側の情報統制によって、流出する情報の量自体は減った。しかし散発的ながら市民の反国軍デモや市民的不服従運動も続いているし、国軍の抑圧が続いている。そして地方部で国軍と少数民族系武装集団との間の武力衝突が起こっている。

混乱にともなって多くの市民の社会的・経済活動は停止している。銀行が預金引き出しを事実上停止している。世界食糧計画(WFP)は、数百万人が食糧不足に直面する危機にあるとしている。

この危機に直面して、日本政府は相変わらず、国軍に配慮した曖昧な態度をとり続けている。

防衛省主導の諸国の参謀長が署名した共同声明は例外だったが、外務省は、米国の同盟国がほぼ全て参加している自由主義諸国による国際的な国軍非難の一連の共同声明などに参加することを、一貫して忌避し続けている。

米国の同盟国網である自由主義諸国による国連総会におけるミャンマーに対する武器禁輸決議の提案国リストにも、名を連ねることを避けた。

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なぜ日本は、同盟国をはじめとする自由主義諸国との協調に背を向けて、ミャンマー国軍に配慮し続けるのか。

「独自のパイプによる外交」「国軍に忖度しないとミャンマーが中国寄りになる」といった言説も流布させているが、要はODAだろう。多くの日本企業が大規模プロジェクトに関わっている毎年1,000億円以上の円借款の投資先だ。ODA案件を停止させて、日本企業に損害を出すことは何としても避けたい。

日本は、かつてミャンマー政府が返済できなくなった約4000億円を放棄したことがある。その後になお貸し付けた数千億円は、まだ返済されていない。さらなる焦げ付きは避けたい。結果として、打つ手が見つからず、狼狽しているようにしか見えない状態に陥っている。

関係者から聞こえてくるのは、「アウンサンスーチーにも悪いところはある」「NLD政権は無能だった」「国軍が勝つ以外の選択肢はない」「市民の側が妥協すべきだ」といった「本音」の声ばかりだ。

約4000億円の放棄を行ったときの理由であったはずの「民主化を後押しする」の「建前」は、意図的に忘れ去られているという印象すら受ける。

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