中国で過激なテスラいじめ勃発…世界一になるために何でもする「ヤバすぎる現実」

運転ミスも企業責任に、恥も外聞もなし
北村 豊 プロフィール

ここまでやってもテスラへの信頼は高く

ところで、文頭に述べた「2021年上海モーターショー」でテスラ社に対し抗議行動を展開したのは、Model 3のオーナーである河南省の張さん(女性)であったが、彼女はその夫とともに、5月6日にテスラ社に対する訴訟を提起した。

訴訟を提起した先は河南省安陽市北関区人民法院(地裁)であり、被告はテスラ(上海)有限会社、テスラ(北京)有限公司、並びにテスラ社で大中華圏を担当する「全球副総裁(グローバルバイスプレジデント)」である陶琳(とうりん)の3者であった。

訴訟の内容は3被告から原告である張夫婦に対して書面による謝罪を含め、精神的慰謝料5万元(約80万円)の支払いを要求したものだった。張さんはテスラ社および陶琳に個人の名誉を侵害されたとして訴訟に踏み切ったと述べているが、上述した天津市の判決を考えると、またしてもテスラに不利な判決が出される可能性を否定できない。

張さんが2021年上海モーターショーで抗議行動を展開した直後に中国メディアは中国全土で発生したテスラ車による交通事故を特集し、テスラ車の性能に疑問を投げかける報道を行ったが、それは全てお上の意向に従ったものであった。

しかし、テスラ車の性能に対する中国国民の信頼度は高く、一朝一夕にはその信頼性を突き崩すことは困難だと言える。

2012年3月9日付で「車質網(ネット)」が報じた「2020年度国内乗用車の販売量に対するクレームランキング」では、第1位がテスラ社のModel3で販売量に対するクレーム比率は1万分の0.7という低率であった。

第2位は上海汽車集団(SAIC MOTOR)の名爵5(ガソリン車)で販売量に対するクレーム比率は1万分の1、第3位は上汽通用五菱の宏光MINIEV(電動車)で1万分の1.3、第4位はBYDの漢(電動車)で1万分の3.2であった。

ランキングが下がればクレーム比率は大きくなるが、たとえば第42位の上海汽車集団の栄威15は1万分の34.8という高率だったから、Model 3のクレーム比率1万分の0.7がいかに素晴らしい数字であることか。

テスラ社の上海工場は年産50万台の規模で、現在はModel 3とModel Yを年産45万台生産しており、Model 3は欧州向けに輸出も行っている。テスラ社は、この上海工場を全世界への輸出センターとして位置付け、工場の拡張を計画していたが、米中貿易の先行きが不透明なことに加えて、中国政府のテスラ社への対応を考慮して、工場拡張計画を暫定的に停止した。

 

中国共産党と中国政府はテスラ社に対し今後どのような対応を見せるのか。徹底的にいじめるのか、はたまた懐柔して協調路線を行くのか。2025年までに電動自動車で中国が世界をリードするという目標を達成するためなら、恥も外聞もなく、あらゆる手段を講じるのが中国なのである。

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