相続したマンションを1000万円で「フルリノベ」した夫婦に起こった悲劇

コロナ禍で増加中「重大なトラブル」
日下部 理絵 プロフィール

火災保険の特約が下りなかった

斎藤さん宅は、約3ヵ月前にフルリノベーションをして、住み始めたばかり。新しく新調した家具や家電もある。ただ、家具や家電に関しては、自身で掛けていた家財保険である程度は補償されそうだ。

そのため、部屋に関しても、上階の住民が掛けていた火災保険の個人賠償責任特約で補償されると思っていた。だが、ここで予想外の事態が起きた。保険会社が言うには、今回のような火災による被害に関しては「例外」だという。

 

それは、過失によって火災を発生させた場合、原則として民法上の損害賠償責任を負わないことを定めた「失火責任法」という法律があるためだ。

日本の建物は木造建築が多く火災危険が非常に大きい。火災を発生させてしまった場合、巨額賠償の負担が生じるため、焼いた者も焼かれた者も、弁償を請求する者も義務者もいないという国情により、隣近所を隣焼させてしまっても賠償する義務はなく、被害を受けた人はそれぞれ自己責任で、ということを定めている法律といえる。

スケルトンにして排水管も交換するなど、同じリフォームを行うとなると、ふたたび1000万円近くの費用が飛ぶ。

そのうえ、火災が起こった部屋付近の建物のタイルはススで黒くなっているため、タイルの洗浄や貼り替えが必要だという。この費用は管理組合の保険で賄われるらしいが、その期間、大規模修繕のように足場を組んでの大掛かりな工事が必要だ。

そのほか、工事中の仮住まい費用などさまざまな諸経費もバカにならない。フルリノベーションの費用は老後のためにとコツコツ貯めていた資金と旧家の売却代金の一部をあてた。もう一度となると、リフォームローンなどで借り入れるしかない。

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