最重要なのは、耐震診断
リフォーム業者に依頼を出すと必ず、それ以外の場所も直すよう提案される。キッチンもトイレも、玄関も照明も、すべて新調したくなるのが、人間の心理だ。
「それこそ1500万円から1800万円の費用をかけて家を全面改装すれば、新築同然になります。しかし限りある老後資金を考えるなら、そのリフォームでどんな効果があるのかを見極めながら、必要なものだけやるべきです」(ハウジングアソシエイツ代表・阿部友博氏)
リフォームにおける「最低限」がどこにあるのか。最重要なのは、耐震構造だ。老親から相続した家など、'81年5月以前に建てられた古い建物に住んでいる場合は、古い耐震基準で建てられているため、一度は耐震診断をしておくべきだ。

「自治体の建築課などに相談すると、無料で専門技術者を派遣してもらえることがあります。改修工事には最低100万円程度かかりますが、各自治体の補助金を活用できる場合もあります」(ファイナンシャルプランナーの橋本秋人氏)
新宿区なら、耐震改修工事にかかった費用の3/4(上限300万円)が補助される。金額や要件は自治体ごとに異なるが、基本的に工事を行う前に申請が必要だ。