# 介護

田舎で「Uターン介護」するために早期退職した50代サラリーマン夫婦の悲劇

太田 差惠子 プロフィール

本当に同居が必要なのか

まだ東京のマンションを売却していなかったので、元の生活に戻れたことは不幸中の幸いでした。

「怒涛の2ヵ月間でしたよ。以来、妻は母とは会っていません。僕は、たまに実家に帰省して様子を見に行っていますが、母も僕もあのときのことには触れません。介護保険のサービスを利用して、気楽に暮らしているようですよ。

僕は気持ちが冷めたっていうか、行っても、滞在するのは2時間くらいです。けど、僕のひとり合点だったのかもしれないと反省もしています。同居こそが最大の親孝行だと思っていましたし、母もそれを望んでいると疑わなかった」

こうして、ユウイチさんのUターン介護は、失敗に終わりました。

 

失敗した最大の要因は、事前の話し合い不足ではないでしょうか。

もともと、母親はユウイチさんのUターンを望んでいたのか疑問です。色んなタイプの親がいて、必ずしも子との同居を希望しているとは限りません。親子とはいえ、ライフスタイルも価値観も異なるのは当たり前で、どちらかに合わせるのは難しいことなのです。

母親にしても、息子や娘が自分のことを気遣って「Uターンするよ」と言い出した時に、「えっ!?」と思っても断りにくいことも想像できます。逆に、子が「こっちにおいでよ」と言ったときに、断り切れずに子の家に移ったものの都会に馴染めず後悔し、涙を流すお年寄りに会ったこともあります。

読者の皆さんは、ユウイチさんのような失敗をしないように、親との同居を検討する場合は、「それは、本当に必要か」をしっかり考えて、じっくり話し合っていただきたいと思います

「ひとり暮らしはかわいそう」は妄想の可能性があります。案外と親が自立的に生きるための「悪くない選択」なのかもしれないのです。

関連記事

Pick Up

編集部からのお知らせ!

おすすめの記事

ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/