大切なのは「意識を拡散していく」こと

そういう思いを伝えたくて立ち上げた会社では、「MES VACANCES(ミ ヴァコンス)」というブランドを作った。地球の循環や生態系に負担をかけないものづくりを行なうアパレルブランドで、できる限りのサステナブルな素材を使用している。素材についてはブランドサイトでとてもわかりやすく説明されている。

写真/菊地泰久(Vale)

「サステナブルな素材を使うと、原価が高くなる分、販売価格も高くなってしまう。作っている側は良いことと捉えて事業を展開しているけれど、そのことを知らない人への伝え方が浅いと、本質を理解してもらうことは難しいなと実感しています。そもそもなぜオーガニックコットンがいいのかというと、土壌の問題があるんです。

一般的なコットン農場では大量の農薬が使われていて、土のバランスが崩れるのもそうですが、そこで働いている農家の方々の健康被害にもつながっている。それが日本から遠い国で行われていて、かつ、彼らにはほとんど儲けがないという現状。果たしてそれが本当に幸せな生産の仕方なのかな?と。

その現状を理解し、考える人が増えていかない限りは、ただ“オーガニックコットンはいいものなので買ってください”と言っていても、なかなか本質まで届かない気がして。やっぱり高価だし、買いにくい。原理を説明して、納得してもらうことがまずは大切なんです」

写真/菊地泰久(Vale)

確かに、“サステナブル素材を使うことが誰かの助けになる”という意識が浸透すれば、それはきっと購買意欲につながるだろう。“いいことをする”のは、人間の喜びの一つでもあるから。

「普及の仕方も重要ですね。いきなり“100%オーガニック素材にすべき”というと敷居が高いけれど、“10%だけトライしてみませんか?”なら、共感も得やすい。消費者の方がキャッチしやすい情報を提供できるように務めて、一人一人の“サステナブルな意識”を拡散することが命題です」