生と死、現実と虚構の境界を越えて

また、『anone』(2018年・日本テレビ系)では、幽霊や幻影といったファンタジックな存在を通して、死者との共存を描こうとした。

このドラマの第4話では、青羽るい子(小林聡美)という女性が、「女だから」という理由で主役になれない人生を歩んできた過去が語られる。彼女には、高校時代に妊娠したが生まれてこなかった娘・アオバ(蒔田彩珠)の幻影が見えており、「親子であり、気の合う友人」として寄り添う関係を続けてきた。一方、現実の家庭では夫や姑、息子からも虐げられて居場所をなくし、死に場所を探していることが明らかになる。

生きてる子供から愛されないから、死んだ子供のことを愛してるんです」と自分を卑下し、すべてを諦めて元の家に戻ろうとするるい子に対して、主人公・辻沢ハリカ(広瀬すず)が語りかけるのが、以下のようなやりとりだ。

ハリカ「え、何で幽霊が好きだと駄目なんですか」
るい子「え?」
ハリカ「何で死んでたら好きになっちゃ駄目なんですか。生きてるとか死んでるとかどっちでもよくないですか
るい子「(苦笑し)だって……」
ハリカ「生きてても死んでても、好きな方の人と一緒にいればいいのに
(『anone1』河出書房新社・第4話より)

その後、るい子は夫と離婚して家を出ると同時に、アオバにも別れを告げるのだが、「わたしももうしばらくは幽霊のままいて、お母さんのこと見てるからさ」と言われ、姿こそ見えないがどこかにアオバの存在を感じながら生きることになる。私たちは、フィクションという想像力を介して現実を超え、いなくなった人とも触れ合うことができるのだ。

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だから、『まめ夫』のかごめは、きっとこれからも物語の中から消えない。今後はとわ子や元夫たちが彼女の生きた証を受け継ぎ、彼女の存在を確かに感じながら生きていく姿が描かれるだろう。坂元作品ではいつだって、生者と死者、現実と虚構はその境界を超え、混ざり合いながら交流していくのだから。

さて、第6話のラストシーンで1年後へと舞台を移しても、とわ子は相変わらずラジオ体操の体をねじる動きが人と合わない。だが、回転のリズムがずれたからこそ、謎の男(オダギリジョー)と目が合い、新たな出会いが生まれる。螺旋のように少しずつ前へと進んでいくとわ子の日常は、第7話へと続く。