何かが過剰で逸脱している『まめ夫』の世界

真紀「人生には三つ坂があるんですって。上り坂。下り坂。(苦笑して)まさか
(『カルテット1』河出書房新社・第1話より)

そんなセリフをつい思い出してしまう、まさかの顚末を見せた『大豆田とわ子と三人の元夫』(以下、『まめ夫』)の第6話であった。思えば、我々は油断していた。坂元裕二脚本のドラマでは、たいてい5話か6話で物語に急旋回が起きる。前回、これまで『まめ夫』の世界には出てこなかったタイプの危険人物・門谷(谷中敦)が登場して不穏な空気を漂わせていたが、それは来たるべき衝撃の展開へのミスリードだったのだ。詳しく見ていこう。

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第1話の冒頭で、「ラジオ体操がいつも人と合わない」とアナウンスされた大豆田とわ子(松たか子)のように、本作ではいつも世間の普通から“はみ出してしまう”人たちが描かれる。彼らを象徴するように、劇中には何かを飛び出して逸脱する、何かが多すぎて過剰である、という描写がちりばめられていた。

第5話からは特に顕著で、とわ子が母の葬儀の帰りに見た「布団が吹っ飛んだ」光景に始まり、声が大きすぎるとわ子の父・旺介(岩松了)の選挙カーや、バースデーケーキの多すぎるローソク、刺身につけすぎたわさび、15種類のきのこばかりの鍋。第6話では、アートイベントの仕事が7000万円近い予算オーバーになるし、餃子の材料を買いすぎた旺介は「多ければ多いほどいいの」と元夫たちを家に呼びつけ、部屋のテレビはボリューム62でがなり立てる。

とわ子の元夫である中村慎森(岡田将生)、佐藤鹿太郎(角田晃広)、田中八作(松田龍平)の3人の男たちは、そんな“はみ出してしまう”人々の代表格だ。