爬虫類の知られざる性決定のしくみ…たった数℃の違いが分ける「オス」と「メス」

温暖化はどのような影響を与えるのか
熊谷 玲美 プロフィール

ふたつの性決定のしくみを持つ生物

同じ爬虫類でも、ヘビとワニは進化の上で遠い関係といわれるので、性別が決まるしくみが異なっていても不思議ではない気がする。しかしトカゲの一種であるフトアゴヒゲトカゲは、その異なるしくみの両方を持っているという。

フトアゴヒゲトカゲ Photo by gettyimages

オーストラリアに生息し、日本でもペットとして飼われているフトアゴヒゲトカゲは、発生時の温度が32℃以下だと、性染色体にしたがってオスかメスのどちらかになる。しかし温度が32℃を超えると、性染色体に関係なくメスが多くなり、36℃以上ではすべてメスになる※4

これは、卵の中にある胚が32℃以上の高温にさらされると、オスの染色体を持つ胚がメスとして発生するためだという※5

オーストラリアのキャンベラ大学のホワイトリー氏らは、4月15日にPLOS Genetics誌に発表した研究で、フトアゴヒゲトカゲの胚の遺伝子解析をおこない、染色体にしたがってメスになった胚と、高温によってメスになった胚を比較した※6

その結果、この2種類のメスは、胚が発生するプロセスではそれぞれ異なる遺伝子がはたらくが、最終的には同じ形の卵巣を持つようになることがわかった※7。 

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