日本経済が完璧に「一人負け」、じつは「政府の支出と補償」がまったく足りていなかった…!

村上 尚己 プロフィール

IMFのレポートでは、新型コロナ対応で、2020年に日本が繰り出した財政支出の規模は、相対的に大きいと報告されている。安倍晋三政権時に発動した2回の補正予算の規模は60兆円規模で、GDP対比で見ると10%を超える。さらに菅政権は、2020年12月に20兆円規模の補正予算を発動しており、これらを単純に積み上げると追加財政支出はGDP対比で10%を大きく超える。IMFのレポートは、これらを積み上げているのだろう。

ただ、経済活動へのインパクトという意味ではコロナ対応として短期間に執行された金額が重要である。これらの予算がどの程度歳出されたか、暫定数値を発表している米国とは異なり、日本政府は財政赤字や歳出を月次ベースで公表していないため、自ら試算するしかない。2020年度(2021年3月まで)の日本の一般政府財政赤字は、約55兆円まで拡大したと筆者は試算している。コロナ禍前から約40兆円、GDP対比8%規模で財政赤字が拡大したとみられる。

これが正しければ、先述した予算ベースでの補正予算のかなりの部分が、2021年3月までに執行されていないことを意味する。予備費4兆円に加えて2020年度に執行されなかった予算を加味するだけで、5兆円規模の追加財政支出発動は十分可能とみられる。

 

自らリスクを招く菅政権

ただ、菅政権は、経済活動の制限を強化する一方で、それに対する最低限の休業補償などに予備費を使う「耐久戦」を続ける模様である。オリンピック開催と新型コロナ対応が政治的に最優先される中で、ワクチン接種加速、IOCと地方首長との調整で手が一杯なのだろうか。このため、年初からの経済活動に落ち込みへの政策対応が不十分になり、2四半期連続でのマイナス成長になるリスクを自ら招きつつあるのではないか。

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