2021.05.28
# 米国

「年収1億円」の“富裕層たち”が戦々恐々、いよいよ「金持ち・大増税時代」がやってくる!

バイデンが決断した「富裕層増税」

アメリカのバイデン大統領は、富裕層に対するキャピタルゲイン税(株式の値上がり益にかかる税金)を、大幅に引き上げる意向だと報じられている。

バイデン政権は、追加現金給付などの新型コロナ対策で1・9兆ドル(約200兆円)の財政出動を3月に決定し、次いでインフラ投資や子育て・教育機会拡充などの「家族計画」も発表している。今回の富裕層向けの増税は、そうした施策の財源として計画されたものだ。

バイデン政権が今回想定している税率は、所得が100万ドル(約1億円)を超える富裕層に対して39・6%。現行の2倍近くに引き上げる算段のようだ。

Image by iStock
 

これまでの最高税率は1920年の33・8%なので、それを上回る。ディーズ国家経済会議(NEC)委員長の発言によれば、この増税で影響を受ける納税者はアメリカ全体の0・3%、約50万世帯にとどまる見込みだという。

アメリカの所得・資産格差は近年かなり拡大しており、上位1%の国民が持つ資産が、下位99%が持つ全資産よりも多いという試算もある。その是正を図ろうとするのは、民主党政権ならずとも妥当な判断だ。

増税案が発表された直後は一時的に株価が下落したものの、その後は順調に織り込み、大きな混乱は出ていないように思われる。

市場の多くの見方も同じで、短期的に不安定になることがあっても、長期的には大勢に影響はないと考えられている。これは、いままでの株式市場の歴史において、キャピタルゲイン増税が行われても大きな混乱が起きることはなかったという経験則による。

では、アメリカのキャピタルゲイン課税の仕組みについて、もう少し分析してみよう。主要国のキャピタルゲイン課税を見ると、給与所得など他の所得と合算せず個別に計算する「分離課税」が多い。

米英の場合は、分離課税のキャピタルゲイン税のなかに所得に応じた段階的な税率が設けられている。今回の増税は、3段階設けられた税率(0%、15%、20%)の最上位にあたる税率20%を改め、39・6%まで引き上げるというものだ。

さらに、この3段階の課税のほかに、州税や市税といった地方税も乗っかってくる。今回の増税案とこうした地方税を合わせると、アメリカの富裕層のキャピタルゲイン税率は、60%を超えるかもしれない。

一方、日本のキャピタルゲイン税率はどうなっているのか。日本は「一律分離課税」という方式をとっている。給与所得の多寡にかかわらず同じ税率で課税するというものだ。

 

内訳は、国税である所得税が15%、地方税の個人住民税が5%、この合計の20%が日本でのキャピタルゲインにかかる税率になる。

先程見たアメリカのシステムと比較すると、国税の部分が一律である点、そしてそもそもの税率がかなり低い点が特色と言えるだろう。

アメリカの極端な対富裕層増税が適切かどうかはさておき、日本でも所得格差が拡大し続けていることを踏まえれば、「一律分離課税」というルールは実情に即していない様に思われる。多段階課税の導入が議論されて然るべきだろう。

『週刊現代』2021年5月22・29日号より

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