2021.05.28
# 将棋 # エンタメ # AI

藤井少年が小学6年生で書き上げた「自戦記」に見る素顔

藤井聡太論 将棋の未来(8)
変動と混沌のさなかにある将棋界に彗星のごとく現れた、藤井聡太という天才棋士。自身も史上最年少で名人位を獲得した、谷川浩司棋士が、藤井聡太という巨大な才能の謎に迫ることを通して、トップ棋士の持つ能力を明らかにするとともに、新たな時代を迎えつつある将棋の現在と未来を展望した。その強さの本質はどこにあるのか。メンタルはどれほど強靱か…『藤井聡太論 将棋の未来』から抜粋して掲載!

盤上を「飛翔」する駒

藤井将棋の面白さと詰将棋との関係について、考えてみたい。

詰将棋は簡単に解けるようでは作品としての価値がない。パズルは難解であればあるほど解くことができた時の達成感は大きい。

2019年9月、第69期大阪王将杯王将戦で対戦する藤井聡太棋士と、著者である谷川浩司棋士 撮影/撮影 岡村啓嗣

だから普通は予想し得ないような妙手や、誰も気のつかない奇手をいくつも作品の中に盛り込む必要がある。詰将棋は藤井将棋の面白さを支える大きな条件になっている。

藤井さんは七段に昇段した時、扇子に「飛翔」と記した。「飛翔」は私が17、8歳の頃からいまに至るまで、色紙や扇子に好んで書き続けてきた言葉でもある。

 

芹沢博文先生は事あるごとに、「将棋は八十一角の狭い世界だが、駒が大きく飛び交うような大きな将棋を指さなければいけない」とおっしゃっていた。

「飛翔」は芹沢先生の言葉と相通じる。杉本さんが弟子の藤井将棋の魅力を表現して自著に記した「空中サーカス」や「三次元の読み」といった言葉にもつながる

駒が大きく飛び交う将棋と対照的なのは、駒がぶつかる前から自陣で駒をパズルのように動かしている将棋である。いまは将棋の序盤が進化し、最善の形で戦いを起こすために、それも作戦の1つとなっているが、将棋ファンの方にはなかなか理解しにくい部分であろう。

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