2021.05.27
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先輩棋士も絶賛する藤井将棋 “詰将棋”が生んだ「AI超え」の一手

藤井聡太論 将棋の未来(7)
変動と混沌のさなかにある将棋界に彗星のごとく現れた、藤井聡太という天才棋士。自身も史上最年少で名人位を獲得した、谷川浩司棋士が、藤井聡太という巨大な才能の謎に迫ることを通して、トップ棋士の持つ能力を明らかにするとともに、新たな時代を迎えつつある将棋の現在と未来を展望した。その強さの本質はどこにあるのか。メンタルはどれほど強靱か…『藤井聡太論 将棋の未来』から抜粋して掲載!

華と新鮮味がある将棋

藤井将棋の魅力は圧倒的な強さだけではない。その将棋について先輩棋士は口々に「非常に面白い」「ワクワクする」「興奮する」などと表現する。

2017年詰将棋解答選手権で並ぶ藤井聡太棋士と著者・谷川浩司棋士 撮影/岡村啓嗣

中原誠十六世名人は、私との全対局集『中原VS谷川全局集』(マイナビ出版)に収録した対談の中で藤井将棋について「谷川さんや羽生さんにも共通するものがある」として次のように話されている。

まず将棋自体が面白い。(略)全体的に新鮮味がある、という印象です。谷川さんや羽生さんが出てきたときも同じでしたが、プロが観ても将棋が面白いんです」

対して私もこのように答えた。

「将棋に華があります。びっくりするような捨て駒ですとか、才能を感じさせる一手が出てきます。もちろんそういう作りの将棋を指しているということはあるんでしょうが、魅せる将棋を指すということは素晴らしいと思います」

 

藤井将棋が面白いのは、1つには藤井さんが詰将棋の世界でも傑出した才能を示している点と関係がある。

詰将棋とは攻方と玉方の駒が配置された局面から王手の連続で相手の王将を詰ます一種のパズルだ。

詰める側の「攻方」は持ち駒と取った駒を使ってよく、詰められる側の「玉方」は最善、最長手数になるよう王手を回避する手を指す。無駄な駒は配置されておらず、最終的には攻方の持ち駒は残らない。数手詰めから百手、千手を超えるものまである。

詰将棋作家としても活躍されていた内藤國雄先生の影響もあり、私も子どもの頃から詰将棋を解くことに夢中になった。やがて詰将棋を作るようになり、2011年には『月下推敲』(マイナビ出版)という自作の詰将棋作品集も出した。詰将棋とは浅からぬ縁があり、その醍醐味、功罪については人よりも通じているつもりだ。

今回は藤井将棋の魅力と詰将棋との関係について考えていきたい。

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