日本の「改元」の影響
なぜ、このような現象が起きているのか?
日本への留学経験があり、日中双方のサブカルチャー事情に詳しい中国人男性、王一凡氏に連絡を取ってみると、彼からはこんな返信が返ってきた。
「中国の若者は、日本のアニメやドラマなどを通じて、日本の昭和の雰囲気や風情みたいなものを感じ取っています。たとえば、中国でも人気のAKB48などのアイドルは、昭和風を意識したと思える曲がけっこうありますよね。それらを見て影響を受けていると感じます」
王氏が具体例として挙げてくれたのはAKB48の派生ユニット、渡り廊下走り隊7の『希望山脈』という曲。ユーチューブで見てみると、確かに「昭和」の雰囲気がたっぷり漂っている衣装や曲調だ。PVは一部が白黒で、昭和30年代に大流行した「歌声喫茶」の店内を再現したイメージで構成されている。この曲はアニメ『クレヨンしんちゃん』のオープニングテーマにもなったことがあるので、覚えている人は多いだろう。
前述の日本人男性も「日本の若者の間に広がった昭和ブームが、中国の若者の昭和ブームにも大きな影響を与えている」と分析する。
この男性の見立てでは、大きなきっかけとなったのは、2019年に日本の元号が「平成」から「令和」になったこと。「令和」になり、日本人の間で「平成」や「昭和」を振り返る機会が増え、改めて「昭和後期から平成初期までのバブリーな時代や、高度経済成長を遂げた昭和という時代を懐かしむ傾向が出てきました。中国の若者もそうした日本のものに触れる機会が増え、関心を持ったのではないでしょうか」という。