遅すぎるワクチン接種、非難されるべきは「菅首相でない」と断言できる理由

日本をダメにした「3つのガン」が原因

菅政権「崩壊寸前」は本当なのか?

菅義偉内閣の支持率が急落した。新型コロナ対策と東京五輪・パラリンピック問題に対する不満が大きい。だが、日本は、もっと根本的な問題を抱えている。政府の「前例主義」と「証拠主義」「いざという時の米国頼み」だ。それらを克服できる指導者は、だれなのか。

まず、最近の世論調査を見よう。

朝日新聞が5月15、16両日に実施した世論調査によれば、菅内閣の支持率は33%で前回4月調査に比べて、7ポイント下落した。一方、不支持率は47%と8ポイント増えた(https://digital.asahi.com/articles/ASP5J7H1RP5JUZPS003.html)。支持率は過去最低タイ記録である。

新型コロナ対策については「評価する」が23%だった一方、「評価しない」が67%に上った。東京五輪・パラリンピックは「中止する」が最も多く43%、「再び延期する」が40%で、合わせて83%に上った。「今年の夏に開催する」は14%にとどまっている。

東京都庁に掲げられた東京オリンピック・パラリンピックのシンボルマーク[Photo by gettyimages]
 

同じ日に実施した共同通信の世論調査でも、菅内閣の支持率は41.1%で、前回4月調査に比べて2.9ポイント下落した。不支持は前回より9.2ポイント増えて47.3%に上った(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA162R80W1A510C2000000/)。

新型コロナ対策は「評価する」が25.2%だったのに対して「評価しない」は71.5%。東京五輪・パラリンピックは「中止すべきだ」が59.7%。「無観客で開催」が25.2%、「観客数を制限して開催」が12.6%で、両者合わせても37.8%だった。

実施日は5月7〜10日とやや古いが、NHKの調査では、菅内閣を「支持する」が前月より9ポイント下がって、35%、逆に「支持しない」は5ポイント上がって43%だった。新型コロナへの対応は「あまり評価しない」と「まったく評価しない」が合わせて63%、東京五輪・パラリンピックは「中止する」が49%に上った(https://www.nhk.or.jp/senkyo/shijiritsu/)。

こうしてみると、菅内閣の支持率低下は明らかだ。批判が多いのは、新型コロナと東京五輪問題への対応である。ただし、それで政権は崩壊寸前なのか、と言えば、そうとは言えない。内閣支持率と自民党支持率を合わせた「青木率」は朝日で63%、共同では83%、NHKは68.7%に達している。

青木率とは、自民党の参院幹事長などを努めた青木幹雄氏が唱えた指標で「50%を割ると政権が倒れる」と言われている(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55465)。政権に批判的な朝日、共同の調査でも、危険水域にはほど遠い。まだ余力はある。

自民党の参院幹事長を務めた青木幹雄氏(右から2人目)[Photo by gettyimages]
 

新型コロナ対策については「政府の対応が後手に回っている」という批判がつきまとっていた。私も一部は当たっている、と思う。政府の認識は、昨年1月に中国・武漢で「新型肺炎」が大問題になっていた時から甘かった。

たとえば、朝日新聞は2020年1月17日付で「過度な心配は必要ない」という厚生労働省担当者の発言を伝えている(https://digital.asahi.com/articles/DA3S14329768.html?iref=pc_ss_date_article)。同じ紙面で伝えているように、当時は専門家でさえ楽観視していたので、無理からぬ面もあるが、武漢の異常な状況はYouTubeなどで伝えられていた。それでも危機感を抱かなかったのは、想像力の欠如としか言いようがない。

それから1年以上が経ったが、いまだに事態は改善していない。インドでは4月から変異株が大流行し、死者が激増していたのに、日本の水際対策は遅れ、インドからの入国者の隔離期間を3日間から6日間に延長したのは、ようやく5月7日になってからである。

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