マンガ/伊藤理佐 文/FRaUweb

新垣結衣さんと星野源さん結婚!

2021年5月19日に突然発表された、新垣結衣さんと星野源さんの結婚。そのニュースに「おめでとう!」「納得!」「幸せを感じる!」と祝福の嵐だった。ちなみにTwitterでは「逃げ恥婚」に続き、「任天堂婚」「日清婚」(ともに同じ企業のCMに出演中)というワードも飛び交い、SNSは沸きに沸いた。

ガッキーと星野源さんという人気者の結婚ゆえに、ショックを受けた人も当然多いはずなのに、それでも絶対的幸せ感が日本中に広がった理由。それは、お二人の人気はもちろんのこと、『逃げるは恥だが役に立つ』でムズキュンしてきた我々が、みくりと平匡さんの結婚がリアルになったような感覚を受けていることも大きいだろう。

海野つなみさん原作の『逃げるは恥だが役に立つ』のドラマでふたりが見せてくれた姿、それはみくりであって平匡さんであって、本当のお二人ではないのだけれど、でもあの相手を大切にする思いや行動が、リアルでも共通しているだろうと思わせてくれるのだ。星野源さんが自身のエッセイ『いのちの車窓から』(KADOKAWA)で新垣さんのことを「とっても素敵な、普通の女の子」として書いていたのを読むにつけても。

2017年3月に刊行された星野源さんの『いのちの車窓から』(KADOKAWA)

新垣結衣さんが演じたみくりも、星野源さんが演じた平匡も、誠実で、不器用で、真面目で、基本的に「仕事がきちんとできる人」だ。厳密に言うとみくりは就活に失敗して仕事がなく、それゆえに契約結婚という「仕事」に就くわけなのだけれど、気がまわりすぎて「小賢しい」と言われたことがあるほどに、仕事をまかせたらとても丁寧にきちんと考えて、効果的でありながら相手を思いやるやり方で挑む。しかしその分甘えるのが下手なのだ。平匡さんだって職場で困ったら頼られる存在だけれど、人に甘えたことなんてない。だからふたりともプライベートでは充実していなかった。

そんな二人が、互いにこの人は信用できるかもしれないと恐る恐る近づいていき、でも失いたくないからこそさらに一歩前に出ることを躊躇し、でもやっぱり失いたくないからこそ、はっきり伝えることも大切なんだと知って、勇気をふりしぼって行動する。そんなまどろっこしいけれど愛おしすぎる過程を、私たちは原作でもドラマでもリアルに見てきたのだ。

みくりが平匡さんの反応にかわいすぎると悶絶する姿、無表情だった平匡さんが思わずにやけてしまう表情……ああ、なんとまあ真面目できちんとした人がデレっとする様子は、周りを癒すことか。ギャップがあればあるほど、しっかりさんが心からゆるむ様子に「よかったね、安心できる場所があるんだね」と思えるからではないだろうか。

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外でビシッとしている人のデレデレ姿は癒される

そんな「真面目でできる人のデレデレ姿」が周りを幸せにするさまを伝えてくれているのが、海野つなみさんの『逃げるは恥だが役に立つ』が連載されていたマンガ雑誌「Kiss」で20年以上にわたって連載されている伊藤理佐さんのマンガ『おいピータン!!』7巻1話の「新婚ぶり」である。厳密にいうと今は主人公の事情で「おいおいピータン!!」と名前を変えた連載になっている。ちなみにその理由も、主人公カップルの「結婚」によるものだ。

『逃げるは恥だが役に立つ』の原作もドラマも、私たちがなんとなく思っていたことがことごとく言語化され、可視化されて多くの気づきがあったり、励まされたり泣いたりして心をわしづかみにされる。『おいピータン!!』シリーズは「食」を中心としたオムニバスショートコメディなのだが、やはり日頃の生活でなんとなく思っていたことをユーモア満載で伝えてくれ、時にグサッとささったり、チクっとしたり、がははと笑ったりしながら癒されるのだ。

その7巻1話「新婚ぶり」は主人公の大森さんと渡辺さんカップルが、できる元上司の新婚家庭に行く物語だ。元上司の家からの帰り道、思わずくくくと笑ってしまう二人。仕事がちょーできて厳しいかつての鬼上司の可愛い姿。ああ、できる人もやっぱり人間なんだな。こうして基地があるからこそ、外でバリバリできるんだなとも感じて、口元がゆるみ、ちょっとジーンとしてしまう。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』7巻1話

星野源さんと新垣結衣さんも、本人の魅力や作品の素晴らしさはもちろん、人気のベースには、仕事でのとても真摯な姿勢があるといえる。きちんと下ネタや飾らなさがあるのもまたいい。だから、これだけ私たちは嬉しいのだ。幸せになってほしいと心の底から願うのだ。
是非ともふたりのデレデレした姿を、いつか見せてもらいたいものだ。