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コロナによる「社会的孤立者」の増加、男性と高齢者で顕著に!

全国インターネット調査で判明
人との交流が制限される中、家族やコミュニティとほとんど接触がない「社会的孤立」の状態に陥る人が増えている。では、いったいどのような人が社会的孤立に陥りやすいのか? また、人とのつながりはSNSで補えるのか? 東京都健康長寿医療センター研究所の村山洋史氏が、独自に行った全国インターネット調査をもとに解説する。

「社会的孤立」によって死亡率が29%上昇

2020年4月に最初の緊急事態宣言が発令されてから1年以上が経ちました。新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は依然猛威を振るい、これまでのような人との自由な交流は大きく制限されています。「誰かとつながりたくてもつながれない」状況になって、初めて人とのつながりの大事さを認識したという人も多いのではないでしょうか。

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日本では、2021年2月に「孤独・孤立対策担当大臣」が設置され話題になりました。孤独や孤立の問題に大臣を設け、国として対策を掲げるのは、英国に次いで世界で2ヵ国目です。その背景には、コロナ禍で深刻化した閉じこもりやひきこもりの増加があります。

家族やコミュニティとほとんど接触がない状態のことを、「社会的孤立」といいます。このような他者とのつながりが著しく少ない状態は、様々な健康問題を引き起こします。例えば、オランダの研究者らは、たくさんの研究の結果を統合し、社会的孤立によって死亡率が29%上昇することを示しています [1]。

その他にも、心臓病、脳卒中、がん、抑うつ、認知症などの病気の発症や、希死念慮(死にたいと考えてしまうこと)、幸福感の低さなどにつながることが知られています。

 

「社会的孤立」は、脳にとって身体的痛みと同じ

興味深い研究があります。頭部MRIを用いた研究では、孤立した状態になると、情動領域をつかさどる背側前帯状皮質はいそくぜんたいじょうひしつという部位が活性化されていました [2]。

この背側前帯状皮質は、身体的痛みを感じた時に活性化する部位です。つまり、日常的な孤立状態は、身体的に痛みを感じた時と類似のメカニズムで脳に認知され、心身に悪影響を及ぼしていると考えられます。社会的孤立状態になることは、身体的痛みと対比させ、「社会的痛み」と呼ばれることもあります。

社会的孤立を危険なものとして認識するのは、動物としてのしゅの存続に大事だったからという指摘があります。群れや仲間から孤立してしまうと、それだけ危険が大きくなるためです。つまり、孤立を避けるというのは、動物の本能的習性として備わっているということです。

[1]Holt-Lundstad J, et al. Loneliness and social isolation as risk factors for mortality: a meta-analytic review. Perspect Psychol Sci, 10, 227-237, 2015.

[2]Eisenberger NI, et al. Does rejection hurt? An FMRI study of social exclusion. Science, 302, 290-292, 2003.

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