中国政府が「インチキ人口統計」の公表を1ヵ月も先延ばしにした事情

中国が作り上げた「幻想」を信じるな

中国の人口は増えていない

先ごろ、中国で2020年に行われた国勢調査の結果がようやく発表された。中国の公式統計が信用できないことは、拙著『それでも習近平が中国経済を崩壊させる』に詳しく記したところだが、今回の公表結果においてもツッコミどころが満載である。

この国勢調査結果はもともと4月上旬に公表されることになっていたのだが、予定より1ヵ月ほど遅れた。公表が遅れたのは人口統計で揉めたことが原因であることは、中国自身が認めている。「人口統計は非常にセンシティブな問題で、政府各部門の総意がなければ発表されない」というのがその理由だが、なかなか興味深い言い訳ではないか。

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その間、不可思議なことがいくつか起こった。代表的なところでは、公表が延び延びになっている4月下旬に、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が「状況に詳しい複数の関係者の話として、中国の人口が50年ぶりに減少した」との内容を報道したことだ。

明らかに内部からのリークによるものだが、「複数の関係者の話」となっていることから、FTとしてもかなりしっかりとした裏を取った記事だったはずである。だが、中国政府はこの報道をすぐさま否定し、中国は人口増加を続けているとコメントした。それならすぐに「正しい」数字が発表されるのかと思いきや、結果の公表はそれからさらに2週間も先延ばしされたのである。

最終的に公表されたデータでは、中国の総人口は14億1178万人で、前回の2010年の国勢調査時より7206万人も増えたというものであった。10年間で7206万人だから、年平均では720万人程度増えているということになる。

では、2020年はその前年の2019年よりも何人増えているのかといえば、1173万人増加しているということになっている。つまりこの10年間の平均と比べた場合、2020年は6割以上も高い増加があったという話になるのだ。2020年の中国は出生数が大きく落ち込んだことが話題になっていたはずなのに、蓋を開けてみたら、なぜか人口が大幅に増えていたのである。

 

ちなみに、中国国家統計局の寧吉哲局長が記者会見で述べた数値では、2020年の出生数は1200万人ということだったから、2020年の出生数と2020年の人口増加数はほぼ同じということになる。とすれば、2020年にはほとんど死者がいなかったということにならないと辻褄が合わない。

それなのに、中国の2020年の死者数は1461万人との発表もある。死者が1400万人以上いて出生数が1200万人であれば、人口は間違いなく減っていると考えるべきであろう。

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