繰り返される「円」「ループ」のモチーフ

もうひとつ、坂元作品の大きな特徴は、物語のテーマを暗示させるアイテムやモチーフが、まるで連想ゲームのようにさりげなく配置されていることだ。たとえば今作では、「繰り返される離婚」を象徴するかのように、劇中に「ループするもの」「丸いもの」のイメージが頻出する。

結婚式の引き出物のバームクーヘン、デートで窓から見える観覧車、とわ子が落ちる工事現場の穴、ボーリングの球、バスケットボール、すき焼き鍋、器の小さい小皿、社交ダンスのステップ、博多通りもん、碁石、バースデーケーキ……。

あるいは、第1話でとわ子が夢うつつで口にする「優しいって頭がいいってことでしょ? 頭がいいっていうのは、優しいっていうこと」「楽しいまま不安。不安なまま楽しい」という会話の堂々巡り。風呂で歌う「ロマンティックあげるよ」(「ドラゴンボール」のエンディング曲)から「摩訶不思議アドベンチャー」(同アニメのオープニング曲)へのリターン。鹿太郎が語る「お湯の水が氷になったとしても、必ずしもその氷はお湯に戻らないこともないと僕は思う」という循環……。

第5話では、もっと直接的に「離婚はパラレルワールド」「何回やり直しても同じ結果」というフレーズが登場し、私たちの生きる日常がループする円環構造に閉じ込められていることが示されるのだ。

-AD-

そもそも、「三人の元夫」の「3」という数字も何やら示唆的だ。「1」では点にすぎず、「2」では線しか描けないが、「3」になって初めて「円」を描くことができる。そのせいかどうか、このドラマにはあらゆる場面で「3」という数字が偏執狂的なまでにちりばめられていることに気付かされる

司法試験を3回受けて落ちた慎森、3回選挙に落選しているとわ子の父・旺介(岩松了)、アシスタントにご飯代として百円玉3枚を渡す鹿太郎、なくしたイヤリングを3日かけて探したという古木美怜(瀧内公美)。かごめはスマホをなくしても3日気づかず、かつて入社3ヶ月目で退職し、生後3ヶ月の乳児を誘拐した上、実家の資産3億円を全額寄付した。鹿太郎は3回ズボンをずり落とすし、かごめの家を訪ねたとわ子は、帰り際に3回振り返る……。これらはほんの一例で、挙げていったらキリがない。