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人間の本性を無視した「脱資本主義」論者の決定的な間違い

気候変動対策と経済成長は切り離せる
いまや「カーボンニュートラル」「脱炭素」という言葉をニュースで目にしない日はない。気候変動対策が重要であるという認識では、昨今多くの論者が唱える「脱資本主義」と同じだが、気候変動対策と経済成長は切り離せる(デカップリングできる)かどうかという点では、真っ向から見解が分かれる。各国政府や大企業はそれをどう考えて脱炭素に突き進んでいるのか。この分野の第一人者である夫馬賢治氏の新刊『超入門カーボンニュートラル』(講談社+α新書)から、このトピックがよくわかる部分をご紹介しよう。

資本主義が気候変動を引き起こしている説は正しい?

気候変動を引き起こしている原因が、人間社会による温室効果ガス排出であり、とりわけ化石燃料の使用が排出の多くを占めることがわかってくると、「経済成長思想が気候変動を引き起こしている」と主張する論者も出てきた。特に、経済成長思想は資本主義の本質であり、資本主義社会では気候変動は避けられないと唱え、資本主義社会から脱却しさえすれば気候変動を止められると主張する人が次から次へと出現してきている。

 

でも、果たして、それは本当なのか。「資本主義→経済成長思想→気候変動必然」という構図を、今一度点検してみたい。

気候変動抑制のために「脱資本主義」を主張する人は、産業革命以降の資本主義的な経済システムにより、先進国では著しい経済成長を成し遂げ、富が増大し、その反面、経済活動による環境破壊や温室効果ガスの排出により、気候変動が進行してきたと考えている。そのため、世の中を産業革命前の状態に戻すには、資本主義をやめればいいという。

だが、歴史の事実では、残念ながら資本主義でない政治体制でも経済成長は追求されてきた。たとえば、冷戦体制が崩壊するまで共産主義陣営を率いていた旧ソ連は、結果はどうであれ、経済成長はものすごく希求されていた。それどころか、1957年にアメリカよりも先にソ連がスプートニク・ロケットによって世界初の人工衛星を打ち上げた時、ソ連は資本主義よりも共産主義のほうが技術開発に優れ、経済成長を成し遂げられると誇っていた。

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