2021.05.22
# AI # エンタメ # 将棋

藤井聡太の強さの秘密は、集中力と時間配分のコントロール能力にあり!

藤井聡太論 将棋の未来(2)
谷川 浩司 プロフィール

時間配分をコントロールする

藤井さんの強さの特徴は、その対応力と柔軟性にある。その一つの表れが、時間配分のうまさである

Photo by GettyImages

奨励会時代の持ち時間は90分。このため四段に昇段し、プロ棋士になった当初は長時間の対局における時間の使い方で苦労する場合が多い。

中原誠十六世名人が四段昇段後のデビュー戦から二連敗した時のことを、ご本人が著書に書いておられた。師匠の高柳敏夫名誉九段に敗因を問われて、

「どうも夜戦になると、ちょっと良くないようです」と答えたところ、高柳先生から、「それなら夜型にしなきゃいけない」と言われたことがあるそうだ。

奨励会の対局は朝の9時に始まり、夕方までには終わる。だから奨励会で指している間は、夜に対局をすることはない。

 

ところが、プロ棋士になると、夕食休憩の後も対局が夜まで続く。深夜、未明に及ぶこともある。とくに昭和40年(1965年)頃は、持ち時間7時間の棋戦もあり、終局が午前2時を過ぎることもあったようだ。

長い対局に応じるようになるためには経験が大きくものをいう。私の場合、四段になってから一年ほどは、時間をどのように使っていいのかよくわからなかった。持ち時間六時間の対局でも半分くらいしか使わないことも多かった。

もちろん、これは棋士による。羽生さんや渡辺明さんは四段昇段直後から、持ち時間にきちんと対応できていた。

藤井さんはプロデビュー当初から時間配分をうまくコントロールしていた。彼がデビューしてからの棋譜、消費時間をあらためて調べてみたが、しっかりと持ち時間を使っている。公式戦初対局となった竜王戦ランキング戦の対加藤一二三戦も、持ち時間の五時間をほとんど使っていた。

朝から夜まで続く初の対局だったと思うが、十分対応できていた。やはりそれだけ考えることができる、考えることが好きだということでもある。

彼自身は、持ち時間の変化について新聞のインタビューに答え、「三段リーグだと持ち時間90分なんですけど、けっこう中盤で秒読みになることが多かったと思います」としながら、「やはり公式戦のほうが三段リーグより、持ち時間が長い場合が多いので。一つそれが自分には合っていたところはあるのかなという気はします」と話している。

関連記事