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藤井聡太の強さの秘密は、集中力と時間配分のコントロール能力にあり!

藤井聡太論 将棋の未来(2)
谷川 浩司 プロフィール

才能は時代とともに開花した

極度の集中力はもちろん藤井さんの類まれなる才能だが、同時に対局そのものに集中力を求めるようになった時代背景も指摘しておかなければならない。

昭和の時代、つまり私たちの二十代の頃までは、午前中は先輩棋士が対局者同士で雑談をしながら盤に向かっていた。将棋会館の大広間では六局、12人の棋士が将棋を指している。いまでは想像できない風景だろうが、自分の対局そっちのけで他の対局を見に行ったり、顔を合わせるのが数ヵ月ぶりとなると、世間話が始まったりしていた。

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いまと比べれば、タイトル戦にも緩やかなところがあった。2日制ならば1日目は、時間調整とは言わないまでも、封じ手(持ち時間の不公平をなくすため、1日目の最後の指し手を手番側が紙に書いて封をする方法)の局面は駒がぶつかって深刻な局面にならないよう穏やかな手を選ぶ。そんな鷹揚な雰囲気があった。

それが平成に入ってから変わってきた。局面がゆっくり進むことは変わらなくても、一時間なら一時間、序盤からお互いが真剣に濃い時間を過ごすようになる。

 

二十代の頃、私もタイトル戦の1日目は時々控え室に行ったりして一息入れていたものだが、三十代になってからは、もはやそうした空気ではなくなってきた。対局が始まる前から誰も声を発しない。それだけ序盤の一手一手がおろそかにできなくなっていったということである。

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