「出発前の準備」が特殊相対性理論…「アインシュタイン方程式」にド文系が挑戦!

アインシュタイン方程式を読む 第4回
ベストセラーとなった科学書の編集を何冊も手がけてきたライターの深川峻太郎さんが一般相対性理論の“数式”へと挑んだ話題作『アインシュタイン方程式を読んだら「宇宙」が見えた』。そのプロローグと第1章を、全6回の短期連載で特別公開いたします。

前回、ようやく方程式の読み方と、その中身がすこし理解できた深川さん。しかしそれによって、最初に見たときでさえ“ワケのワカラナイ複雑な式”だと感じていた「アインシュタイン方程式」が実際は、“あれでもかなり整理されている。いわば、氷山の一角を眺めているようなものだった”と気づいてしまったのでした。今回もガイド役の「しょーた君」とともに一歩ずつ進んでいきます。

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深川峻太郎
ライター、編集業。1964年北海道生まれ。2002年に『キャプテン翼 勝利学』(集英社文庫)でデビュー。『月刊サッカーズ』(フロムワン)、『わしズム』(幻冬舎、小学館)、『SAPIO』(小学館)などで時事コラムを連載。本名(岡田仁志)では著書に『闇の中の翼たち ブラインドサッカー日本代表の苦闘』(幻冬舎)があるほか、フリーの編集スタッフとして手がけた書籍は200点を超える。

「登山前の準備」が特殊相対性理論という現実

しかし、そもそもが無謀な挑戦なのだから、この程度で絶望している場合ではない。それに、ここまででも私はかなり進歩したじゃないか。私はもう、アインシュタイン方程式を音読できるだけでなく、何も見ずに書くことさえできる。そんな文系人間は、「鬱」や「薔薇」といった漢字を何も見ずに書ける者よりも圧倒的に少ないだろう。この式を飲み屋でスラスラと書いてみせるだけで「いや~ん、かっこいい~」とモテモテになっちゃうに違いない。それはもう、店でのあだ名が「ハカセ」になりかねないぐらいの勢いだ。

もう、この先にどんな挫折があろうがかまわない。本物の登山と違って、失敗しても命まで失うことはないんだし。ダメでもともと、である。

「それじゃあ、登山の準備から始めましょうか」

と、しょーた君は言った。目指すべき山のリアルな姿は麓から少しだけ垣間見えたものの、まだ登りはじめるのは早い。登山も、まずは必要な装備や道具をえなければいけないし、筋力や持久力をつけるトレーニングもしなければいけないだろう。

しょーた君が「出発前の準備」として提示したメニューは、次のようなものだった。

【出発前の準備】
・特殊相対性理論の基本原理と時空図
・k計算法を用いた特殊相対性理論の解法
・不変間隔とローレンツ変換
・4元ベクトルと特殊相対論的運動論

いずれも、これからメインの教科書として使う杉山直(なおし)先生の『講談社基礎物理学シリーズ9 相対性理論』の目次から取り出したものだ(これも羽澄先生が推薦してくださった。今後、単に「教科書」という場合はこの本を指す)。

特殊相対性理論は準備にすぎない(©服部元信)

登山の準備だけで体を壊しそうである。というか、これ、最初から登山じゃん。2行目ぐらいでさっそく遭難しそうじゃん。私が読みたいのは重力方程式なんですけど? こういうのを迂回する楽なルートはないの?

と、のっけから弱音を吐きたくもなったが、やるしかない。

アインシュタインも、まずは1905年に特殊相対性理論を発表し、その10年後に一般相対性理論を完成させた。特殊なくして一般なし、である。

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