大活躍の大谷翔平はどれほど凄いのか…メジャー球団記者たちはこう見る

スポーツだけでなく社会への好影響も
谷口 輝世子 プロフィール

国境や人種を超えたグローバルスター性

先に述べたように、大谷はベーブ・ルース以外にやったことがいないことをやっている。 

45年以上前、ハンク・アーロンがベーブ・ルースの持つ通算本塁打記録を更新したとき、黒人のアーロンに対して脅迫や嫌がらせによる人種差別があった。今、大谷があからさまな嫌がらせなどを受けているといったことは見聞きしない。

しかし、新型コロナウイルスの影響からか米国にはアジア系をターゲットにした差別発言や暴力行為が起こっている。大谷の存在はそのような差別をなくしていくことにつながるのか。

〔PHOTO〕gettyimages

ユタ大学でメディアを対象にして人種やジェンダー表現について研究しているケント・オーノ教授は楽観していない。「スター選手の活躍が自動的に人種関係も向上するというのは必ずしもそうではないと思います」。成功したアジア人のイメージは脅威として受けとめられる可能性もあると言う。

一方、ハンター大学の研究者で、ポピュラーカルチャーにおけるアジア人と黒人の男性らしさについての著書のあるチョン-スミス教授は、大谷に国境や人種を超えたグローバルスター性を見出している。

「我々は新型コロナ時代のアジアヘイトと、大谷選手、大坂選手や、アニメ、韓国映画などのアジア好きを同時に内包しています」

そして、こう付け加えた。

「大谷は既知のものを素晴らしい方法で破壊しています。彼は、『人間』というものをイメージするにあたって、新しい見方を我々に与えてくれ、結果として、米国や世界 におけるアジア人男性の身体についても目を見開かせ、そして、アジア人男性のイメージを再構築しているのです」

日本人アスリートの大谷の活躍は、米国内の子ども、特にアジア系米国人、日系米国人の子どもたちを力づけているが、直線的に米国内のアジア人差別やヘイトの解消につながっていくほど社会は単純ではない。

しかし、大谷は、これまでのメジャーリーグファンの夢想していたパフォーマンスを現実のものとし、米国のファンや世界にいるメジャーリーグファンに、人種や国籍、生まれ育った環境を超えて、人間はどのようなことがどこまでできるかという新しい可能性を見せてくれているとも言えるのではないか。

 

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