模範的な答えよりも話すことが必要なのでは

先のワークシートの話に戻ろう。

今の私なら「Aさんがどのように行動すればよかったのか考えてみましょう」という問いになんと書くだろうか?

2人で会わずに誰かに一緒についてきてもらえばよかった?このことを相談しても怒らなさそうな、親以外の大人に話せばよかった?自分がAさんの親なら、日頃からSNSの使い方について話をして、何かあったら話してねと伝えておけばよかった? 

……。いろいろ考えてみたけれど、正解はわからない。

でも、この「いろいろ」を子どもと大人で、親と子で、教員と生徒で考えたり、話すことが今不足しているのかもしれない。

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この事例以外にも、文科省の『生命の安全教育』教材にはSNSの危険性、デートDV、JKビジネスなどのリアルな事例が掲載されている。大人から一方的に「ダメ。ゼッタイ。」と片付けるのではなく、子どもの声を最後まで聴き、こんなこともあり得るよね、失敗することもあるよね、などと会話を続けることができたなら、「安心できる、信頼できる大人」に近づけるのかもしれない。

また、先日も少年を狙った事件がニュースでも流れた。

そのとき、「なんで会いに行ったのか。だから、こんな目にあったんだ!」と被害者を責めるよう言い方をするのと、「なんで会いに行こうと思うようになったんだろうね……」と一緒にいる子どもに問いかけるのとでは、同じ「なんで」でも伝わり方が全然違うと思う。子どもたちはこういった日常の大人の発言、態度をよく見ている。自分が困ったときに相談できる人なのかどうか。失敗経験や被害経験も受け入れてくれる人なのかどうかを……。

性暴力被害にあった人は決して悪くない。そして、SNSでなんらかの被害にあった人も決して悪くない。SNSが絡むと特に被害者に落ち度があるように言われがちだが、悪いのは被害者の弱みや寂しさや未熟さにつけこんだ「加害者」なのだ被害者はもう十分に自分を責めている。悩み苦しんでいる。そのことを忘れずに、「安心できる大人」「信頼できる大人」になるためにできることを考え続けたい。

何かあったときに、「HELP!」「助けて!」と言える、関係性を築くためには、押し付けや強制だけにならないことも必要だ。photo/iStock

今回ご紹介した文科省の『生命の安全教育』の教材は、一般の人もサイトから簡単にダウンロードが可能だ。内容もとてもわかりやすい。お子さんがいる方はもちろん、大人にも重要な内容が書かれている。ぜひ、掲載されている事例について家族で考えてみてほしい。

文部科学省サイト「性犯罪・性暴力対策の強化について」こちら
教材は、PowerpointやPDFにデータ化され、誰でも見ることができる。
ぜひ、下記のデータをクリックしてみてほしい。
「幼児期」PowerpointPDF
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