あなたはこの事例にどう答えますか?

【事例】
Aさんは、SNSを通じて知り合った女友達のBさんから、今度会おうと誘われました。趣味も同じで同級生だと思っていたのに、会ってみたらかなり年上の男性でした。最初は親切に食事をごちそうしてくれましたが、別れ際に強引に車に乗せられて、連れ去られそうになってしまいました。でも、SNSで知り合った人と会っていたことを親に知られたら怒られると思い、誰にも相談することができませんでした。

(出典/『生命の安全教育』中学生、高校生編から抜粋/文科省)

これは文科省の『生命の安全教育』中学生向け、高校生向けの両方に記載されている事例だ。この事例を読んで、「Aさんがどのように行動すればよかったのか考えてみましょう」というワークシートに、あなたならなんと書くだろうか

おそらく、多くの人が「SNSを通じて知り合った人と最初から会わなければよかった」「会った時点で帰ればよかった」「ごちそうにならなければよかった」と書くのではないだろうか。もしかしたら「最初からSNSを利用しなければよかった」と書く人もいるかもしれない。そしてもし教員なら、「やっぱりSNSは危険ですね。こんなこともあるので、SNSで知り合った人とは会わないようにしましょう」とまとめるかもしれない

-AD-

もちろん、いろいろな答え・展開が考えられる。「誰かに相談すればよかった」という答えも出るかもしれないが、相談しても「SNSで知り合った人と会っていたことを怒られた」というオチになる可能性は高そうだ。

生徒の中に事例と同じような経験をしている子がいる場合(実際にこういった経験をしたことがある生徒は、ごく稀ではない確率でいると私は思う)、こういった「~すればよかったのに」「SNSは危険」という答えや提案ばかりでは、その場にいるのがものすごく辛く、自分を責めてしまうのではないか。そして、ますます相談できなくなるのではないかと感じる

もしもSNSで少しでも同じような経験があった子は、危険、ダメばかりでは逆に口を閉ざしてしまうこともある。photo/iStock

リスクを伝えることはとても大切だが、ワークを行う際には、被害に合った人、あった可能性がある人に対して十分な配慮がとても重要になる。SNS=悪、とならないように。SNSを使うメリットも認識し、SNSでつながった人と会いたい気持ちを否定せずに、背景も想像できるように伝えたい。そもそもAさんにとって、趣味が同じで話が合うBさんは、知らない人ではなく信頼できる人だったのかもしれないのだ