「認めてもらえなかった」思いが阻むもの

私のスクールにいらした生徒さんで、Iさんという50代の女性がいました。学生時代から人並み以上の成績を上げてきて、不動産の仕事も家事も何でも完璧にこなしているという、はたから見るととても優秀な方でした。

ただ、彼女が抱えていた問題は、ダイエットしていても、いい感じに成果が出てきたタイミングで、突如過食をしてしまう、ということでした。そしてダイエットに限らず、何かを仕上げようとすると、完成する直前で壊してしまいたくなるという心のクセを持っていることを、彼女は自覚していました。

そこで私が「これまでに、頑張って成果を上げても認めてもらえなくてがっかりした経験がありますか?」と尋ねると、彼女は「もうずっと忘れていたけど、両親はもともと男の子がほしかったようで、子どもの頃は、女の子というだけで何一つ認めてもらなかった」ということを思い出したのです。

これまでダイエットのサポートをしてきた人のなかでも、「勉強や習い事で頑張って結果を出しても、親にほめてもらえなかった」「自分が何かに成果を出すことを期待されたことがなかった」という人は、意外なほど多いのです。

「幼い頃から親に認めてもらえなかった」という経験をしてきた人に多く見られる心の傾向として「頑張っても結局認めてもらえないなら、成果を出せない方がいい。完成しない方がいい」と無意識にゴールを遠ざけてしまうクセがあります。

この心理がダイエットにも影響してしまい、リバウンドすることで完成しない自分を体現してしまったり、「もう一歩乗り越えたら上手くいく!」というところでテンションダウンして、すべてを投げ出してしまう、というパターンを繰り返している場合があるのです。

自己肯定感のなさが、無意識のうちに「どうせやり遂げても無駄」という思いを引き出してしまうことが…Photo by iStock
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心のクセに気づいて、自分で自分を癒す

ここまで読んでくださった方は、そんな無意識に起きていることはどうにもならないのでは?
生い立ちや親子関係って変えられないのだから、自分がうまくいかないことは諦めるしかないの? と思ってしまうかもしれません。でも、大丈夫です。

たしかに、生い立ちや親子関係を変えることは難しい。けれど、心のクセに気づき、癒していくことで、今の自分と未来の自分を変えていくことは必ずできます

先ほどご紹介したIさんのエピソードの続きですが、あらためて「ご自身の今後の人生で大事にしたいことは?」とカウンセリングしてみると「能力や才能を発揮して、人生を謳歌する!」という言葉にたどり着きました。なぜ私が、ダイエットのカウンセリングで今後の人生、未来について言葉にしてもらうことを大切にしているかというと、これまでの過去がどうであったとしても、「自分は未来をどう生きたいか」を考え繰り返し言葉にしていくことで、今後の自分に大きな影響を与えることができるからです。