日本の「大麻政策」、じつは「大いなる矛盾」が隠されていた…!

宮台真司、大麻を語る
宮台 真司, 大麻博物館 プロフィール

大麻規制の「不整合」

博物館 現在の日本では、生活に根差した古来の麻文化が忘れられつつあり、「ダメ。ゼッタイ。」な違法な薬物が大麻の一般的なイメージになっています。その一方で、海外では産業用*2、医療用*3、さらには嗜好用の大麻も合法化する国が増えてきました。
海外の状況がこれだけ変化してくると、さすがに日本でもこのままの禁止政策をとるのも無理があるのではないかと感じています。その点に関してはどのようにお考えでしょうか?

*2 別名「ヘンプ」。向精神作用がほとんどなく、生育時に環境負荷が少ないバイオマスとして注目を集めている。
*3 近年、その有用性が認められ、世界各地で急速な研究・開発が進んでいる。特定の成分を抽出した「カンナビノイド医薬品」と薬草として用いる「医療大麻」に大別される。

宮台 WHOが有害性は無視できるほどだと認めたので、CBD*4に関しては事実上、日本でも解禁されています。僕もCBDユーザーで、ヴェポライザーでよく吸っています。都会ではCBDカフェが大盛況です。それもあって、大麻についての認識はだいぶ変わってきました。ただ、認識が変わってきたのはあくまでも民間レベルです。厚生労働省は「大麻(THC*5)は有害である」という認識を変えていませんが、有害であるだけなら、諸外国で医療に利用されることはありませんから、不合理です。

*4 大麻に含まれる化学物質の一つである「カンナビジオール」の略。免疫調整や感情抑制、神経保護の効果があるといわれている。
*5 大麻に含まれる化学物質の一つである「テトラヒドロカンナビノール」の略。向精神性があり、鎮痛、沈静、催眠、食欲増進、抗がんなどの効果があるといわれている。

外務省も「海外で大麻(THC)を使用した場合、帰ってから処罰される可能性がある」という情報を出していますが、処罰に関して日本は「属地主義」なので、基本的に現地の法律で裁かれます。確かに「国外犯規定」という、海外での行為に日本の法律が適用される規定がありますが、内乱罪や通貨偽造罪など国家の存続に関わる一部の凶悪犯罪を想定したもので、大麻が合法な国での「大麻の所持」を国外犯規定に当てはめるのは無理です。

 

最近の研究ではTHCの依存性はニコチン、カフェイン、アルコールよりも下です。だから諸外国で一挙に非犯罪化の流れになりました。有害性を問題にするなら、煙草やコーヒーや酒も禁止しないと整合しません。各国でなされたそうした議論が日本ではありません。ドラッグに対する省庁の認識が変わらず、矛盾をはらんだままなのは「恥ずかしい統治」です。「恥ずかしい統治」は外国の目に晒された時に直されます。だから東京五輪で「恥ずかしい統治」が晒されることを、皮肉ではなく期待します。医療大麻を使うアスリートが世界には少なくないからです。

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