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日本の「大麻政策」、じつは「大いなる矛盾」が隠されていた…!

宮台真司、大麻を語る

大麻(学名:カンナビス・サティバ・エル)。この植物は、海外では医療面・産業面での再評価が進み、「グリーンラッシュ」と呼ばれるほどの経済効果を生んでいます。いまだ「違法な薬物」というイメージが根強い日本でも、2021年1月に厚生労働省の主導で有識者による「大麻等の薬物対策のあり方検討会」が開始され、大麻取締法の見直しが進んでいます。

こうした状況の中、2021年5月16日には「稲作より早くから栽培され、衣食住に用いられてきた農作物としての大麻」をテーマとした、大麻博物館による書籍『日本人のための大麻の教科書 「古くて新しい農作物」の再発見』(イースト・プレス)が刊行されました。同書には社会学者・宮台真司氏による寄稿「解放と統治――大麻の二面性と向き合う」も掲載されています。

本記事では、その寄稿の基となった大麻博物館による宮台氏へのインタビューを全文掲載します。

宮台真司 1959年宮城県生まれ。社会学者。映画批評家。東京都立大学教授。東京大学大学院(旧)社会学研究科博士課程修了。社会学博士。『14歳からの社会学』(筑摩書房)、『日本の難点』(幻冬舎)、『崩壊を加速させよ』(blueprint)など著書多数。
大麻博物館 一般社団法人。2001年に栃木県那須に開館。日本人の営みを支えてきた農作物としての大麻の情報収集や発信を行なうかたわら、各地で講演、「麻糸産み後継者養成講座」などのワークショップを開催している。著書に『大麻という農作物 日本人の営みを支えてきた植物とその危機』『麻の葉模様 なぜ、このデザインは、八〇〇年もの間、日本人の感性に訴え続けているのか?』(ともに自費出版)、『日本人のための大麻の教科書 「古くて新しい農作物」の再発見』(イースト・プレス)がある。
 

大麻は「法が禁止しているだけ」

大麻博物館(以下、博物館) 以前、私たちは宮台先生の出身校である麻布学園の校長先生にもインタビューをいたしました。テーマは同校の校章にも施された「麻の葉模様」*1だったのですが、校歌にも「麻の葉」という単語が登場するというお話を伺いました。

大麻について各所でご発信されている宮台先生ですが、このように大麻とは昔から縁深かったのではないかとお察しします。過去から現在にかけて、宮台先生は大麻をどのように捉えていらっしゃいますか?

*1 正六角形を重ねた伝統的な和柄。「大麻の葉」に似ていることからこのように名付けられた。

宮台真司(以下、宮台) 学生だった当時から、麻布学園の「麻」が「大麻」を指すことは知っていました。麻布は受験校でしたが、先輩や先生には保守的な方よりも、リベラルな考え方をする方が多かったです。「大麻がどういういきさつで禁止されるようになったのか?」「どうして近代が薬物を禁止しなければいけないのか?」といった理屈も当時に教わったので、僕自身の大麻に関する認識は当時と変わっていません。

わかりやすく言えば、大麻は「法が禁止しているだけ」。有害性の問題とは直接の関係はありません。むろん全くの無害ではありませんが、それを言うならニコチンやアルコールはずっと有害です。だから、「大麻は有害だから禁止されている」などという言説を信じている人は、情報弱者ぶりを何とかすべきです。実際には、政府は人々の価値観が変わるのを恐れています。それも、価値観の内容に関係なく、価値観が変わるということ自体を恐れているんです。きわめて日本的です。

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