翻訳本だけでなく、発刊ラッシュの「KPOP考察本」

韓国文学の翻訳書籍だけでなく、韓国カルチャーについて論じる本も増えている。映画やドラマのガイド本的なものは以前にもあったが、そういったタイプとは異なる、作品について解釈したり考察を加えたりする本が増えている。いくつか紹介したい。

『韓国映画・ドラマ――わたしたちのおしゃべりの記録2014~2020』(駒草出版刊)は、日韓の映画やドラマについて著者二人が対談をしている。

おもしろいのは、過去にwebで公開した記事を収録しながら、今の視点から総括する「追記」ものせている点だ。韓国は日本以上に社会情勢の動きが早く、大きく変わることも多く、つい1年前の記事でも、今読むと、違和感を味わうこともある。そういったことを加味し、時と共にアップデートしていく様子までも記録しているのだろう。韓国文化について語る本が、こうした価値観のアップデートも示したつくりであることにも、大きな衝撃を受けた。

-AD-

また、コロナ禍に多数出版されているのが、K-POP関連の書籍だ。

a

BTSの楽曲をレビューした『BTSを読む なぜ世界を夢中にさせるのか』が2020年5月末に柏書房から刊行され、ARMY(BTSのファンの呼称)を中心に、大きな話題となった。私自身も、BTSとそのファンダムについて迫った『BTSとARMY』の翻訳出版を編集として手掛け、2021年2月に出版した

また、この5月16日には、1990年代後半にデビューしたH.O.Tから現在に続くK-POPのこれまでの歩みを、名曲とアーティストを軸に解説する『K-POPはいつも壁をのりこえてきたし、名曲がわたしたちに力をくれた』(まつもとたくお著)を刊行する。

他にも「K-POP」を現象としてとらえて、ここまでのムーブメントを起こしているその仕掛けについて、緻密な調査と当事者インタビューを交えて解説された本も刊行された。

『K-POPはなぜ世界を熱くするのか』(朝日出版社)だ。書かれたのは、田中絵里菜さんだ。田中さんは、日本でグラフィックデザイナーとして活躍し、K-POPカルチャーのデザインに魅了され、渡韓。現地の雑誌社でデザイナーと担当し、ダイレクトにK-POPと出版という2つのカルチャーを経験してきた人でもある。

幅広いコンテンツで沼落ちさせる入口がたくさん用意されていること、広報役にもなるファンダムの特殊性などを、くわしく解説している。私自身K-POPファンとしてなぜこんなにハマってしまうのか、その答え合わせをするようで非常に面白く読んだ。

さらに、この本の担当編集から声をかけてもらい、出版社の垣根をこえたブックフェア『春のK-POP祭り』を開催することになった。宣伝をするようで恐縮ではあるが、朝日出版社、柏書房、イースト・プレスの3社共催で、各社から刊行されたK-POP関連本と著者による選書を展開している。

K-POPは、面白いことへの飽くなき探求心と実行へ移すときのスピード感が魅力のひとつでもある。本来は競争相手の他社の編集者からこうした新しい企画を持ち掛けられたことが、K-POPファンとして、編集者として、非常にうれしかった。