2021.05.22
# エンタメ

「テレビ離れ」が急加速する時代、多くの人が意外と知らない「若者の価値観」

ラリー遠田, 原田 曜平 プロフィール

「否定しない」ものが支持されている

原田:いじりもそうだし、あと、今の学生さんとかを見ていると「怒り」もダメですね。例えば、僕のところでバイトしている学生で遅刻してきた子がいたとして、その子に対して「お前、何やってんだよ」って注意したら、たぶん100%と言っていいぐらい支持が得られないんです。

明らかに遅れてる方が悪いし、時給泥棒なんだけど、それでも怒ったら負けという感じなんですよ。そこは冷静に感情を乗せずに、「10時に来るのがルールだから、遅れてきた30分の時給は時給を引かざるを得ない。今回は目を瞑るから次回からそうするね」と言うしかない。なぜそこに感情を乗っけるんだ、っていう感覚らしくて。怒ってしまうとそれだけで器が小さい大人っていう認識になるんですね。

あと、いじりもそうです。広告の分析をしていても、とにかく「否定しない」っていうものが支持されているんですよ。例えば田中圭さんが出てるお米の広告で「日本のお米で美味しくないなんてないじゃん~!どれも美味い、全部素晴らしい。ただその中であえて言うなら……“雪若丸”が好き」と言うとか。ぺこぱさんみたいな感じですよね。

ハゲたくてハゲたわけじゃないですけど、結果的にハゲたことによって、『ホンマでっか!?TV』でさんまさんにいじられ、ブラマヨの小杉さんやトレンディエンジェルの斎藤さんと仲良しになれたんですけどね。

ラリー:なるほど(笑)。お笑いの中には、怒りとかの感情を乗っけるっていう手法はあるじゃないですか。例えば、私が子供の頃から見ていたダウンタウンだったら、松本(人志)さんが常に何かに怒っていたりするわけです。その怒りをうまく笑いに変えているみたいなところがあったんですけど、たぶんそういうのも「怒っている」という時点で受け付けないっていう感覚の若い人が増えているんですかね。

原田:そういう気がします。明らかに怒っていないんだけど怒っている体(てい)で、とかだったらひょっとしたら受け入れられるのかもしれないけど、マジで怒ってるな、みたいなにおいがしちゃうともうダメかもしれないですね。

 

ラリー:例えば、この前、テレビで『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS)を見ていたら、とんねるずの石橋貴明さんが乱入してきて、中居正広さんとの『うたばん』のコンビが復活した、と話題になったことがあったんですね。

そこで過去の『うたばん』のVTRが流されていて、石橋さんがモーニング娘。のメンバーをいじるくだりが延々と放送されたんです。それを見てスタジオは盛り上がっていたんですけど、石橋さんのああいういじりが、今の時代の感覚で見ると、もうパワハラとセクハラの権化みたいになっていて。当時はそれが面白かったんですけど、2021年時点の感覚では「ここまでやるか」って思ってしまうところもあって。

私自身はそれはそれで面白いっていう感覚はあるんですけど、そんな自分ですら、昔の映像をいま見るとドキッとするようなこともあって。だから、若い世代だけじゃなくて、無意識のうちに自分たちの世代の感覚も変わっているところもあるような気がします。自分はいいと思っていても、これを見て引いちゃう人がいるだろうなって想像することで自分も笑えなくなる、みたいな。

原田:ちょっと前までは無茶苦茶やっていたユーチューバーたちも、大分規制が厳しくなっているので、テレビだけの話ではないかもしれませんが。

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