『ファクターX』、西浦博教授が報告 「考察すると見えてきた“4つ”の事実」

まだ根拠の不確かな楽観主義は危険
西浦 博 プロフィール

(3)気温と2次感染リスクの負の相関

アジアでは、中国が話題の中心でしたが、発展途上国を含む東南アジアで流行が下火だったのはどうしてなのでしょうか。もちろん、シンガポールや台湾、香港のような例外はありますが、その他も封じ込めに近い状態を達成してきました。

その一因として、詳細なメカニズムは明らかにしなければなりませんが、気温が低い時、このウイルスの伝播は気温が高い時よりも効率的になることが知られています(すなわち、気温がファクタ―Xの一部だったと言っても語弊ではありません)。

どの地域も冬季が流行の鬼門であり、気温が低い時期に人が移動して飛沫が飛び交うようなイベントがあると大変危険だと考えています。日本だと、第3波の際の年末年始に感染者数が一過性に増加しましたが、そのようなことです。

すなわち、東南アジアの各国で封じ込めや大規模流行回避(それを抑制=Suppressionと呼びます)に成功してきたことには、熱帯地域や亜熱帯における高温が助けになっている可能性を考えています。

 

他方、ずっと気温に頼る訳にはいかず、フィリピンやインドネシアのように変異株の出現前から流行制御がおぼつかない場所では流行拡大が何度か起こってきました。

東アジアと東南アジアでは、中国を除けば、日本と韓国の2か国は第1波の抑制にそれぞれの方法で成功しました。それ以外の多くの国が熱帯や亜熱帯地域に属します。アジアに帰属する国の環境条件を考えると、気温に帰する部分は相当量にのぼるものと想像されるのです。

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