『ファクターX』、西浦博教授が報告 「考察すると見えてきた“4つ”の事実」

まだ根拠の不確かな楽観主義は危険
西浦 博 プロフィール

(2)国内流行を素早く制圧した中国

中国では去年1月後半から湖北省で武漢市を中心として都市封鎖を行いました。いわゆるロックダウンの実践の初例となりました。既に広く知られていますが、中国での行動制限に伴う流行制御は流行のごく初期で奏功したのです。

特に、その後の経過として、中国では継続的に渡航制限と検疫を強化しており、地域でクラスターが複数発生した際には、局所的な地域のロックダウンを繰り返す政策で封じ込めをしてきました。

当時の武漢の様子(photo by gettyimages)
 

そしてその影響は他のアジア地域にも及びます。中国からの渡航は、日本を含めたアジア地域への渡航者の出身国別で常に上位ですから、渡航者における感染リスクを圧倒的に下げることに繋がったものと考えられるのです。

もちろん、中国以外にも韓国や台湾、東南アジアの成功も特筆すべきものですが、中国における制御の成功は、その人口サイズと波及効果を考えると極めて大きくなることは定性的に明らかですね。

ただし、翻って考えると、中国に凄まじい数の感受性宿主(今後も感染する可能性がある人たち)が残っており、そのことが抱える潜在的な流行リスクは今後も継続するだろうことに注意が必要です。中国の人口全体に予防接種が即座に広がるにはサイズが大きすぎます。

それに加えて、変異株のみならず有効性がmRNAワクチンよりも低いとされる不活化ワクチンを使用してきました。すさまじい規模の流行が起こり得る状態で残っている、ということになります。

人口規模を考えるとインドの包含するリスクが高いことは、疫学者も理解してきたところでしたが、同様に中国の今後のリスクや社会秩序については隣国としても安定の維持を見守ることが必要なのだと思います。

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