『ファクターX』、西浦博教授が報告 「考察すると見えてきた“4つ”の事実」

まだ根拠の不確かな楽観主義は危険
西浦 博 プロフィール

(1)「感染リスク」と「従属性」

これまでに予防接種による集団免疫の説明をしたとき(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81092)、それは感染というイベントのリスクが従属的であるために起こる現象であることを説明しました。

つまり、あなたの感染するリスクを大きく左右しているのは、あなたの近しい人が感染しているかどうか、ということです。自身の帰属する集団で感染が多いと、自分も感染しやすくなります。

2020年2月下旬からイタリアでの流行が起こったとき、欧州連合(EU)の他国では感染が拡大することが不可避でした。EU諸国は異なる国ではあるものの、地続きなわけですからフランスやスペインなどにすぐ波及することになりました。行き来の多い近隣国の感染リスクは、イタリアでの感染リスクに対して、従属的なのです。

 

インドの事例を見てみてもそうです。インドで爆発的に流行すると、近しいネパールやスリランカでほぼ同時に感染者が増えています。日本に英国やインドから変異株が入ってしまうのもそうです。日本の最も厳しい入国管理政策として外国籍の新規入国を停止したとしても、駐在員や留学生などの日本国籍の者は出入国できる状態ですので、出入りのある国同士が互いに影響を与えないわけではないのです。

そう考えると、2020年前半は、東アジアや東南アジア、オセアニアではそれぞれの国が感染リスクを低く抑えており、互いに感染を与え合わない状況にありました。「どうしても行き来しなければならない人」に関しても、次第に渡航制限や検疫が機能し始め、地域共同体としてWin-Winの状態にあった、ということが理解できると思います。

アジアで行き来の多い周辺国の感染リスクが低いなら自国の感染リスクも低くなる、という当たり前のことが起こった、というわけです。

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