“慰安婦問題”を追及する韓国に刺さった、「ベトナム人虐殺」というブーメラン

被害者の訴えは、事実上退けられた
羽田 真代 プロフィール

しかし、国情院の回答は「情報公開訴訟の判決を受けて、すでにグエン・ティ・タン氏側の訴訟代理人に提供した」「追加の事項は、公共機関の情報公開に関する法律で定められた手続きに則って処理すべきと考えており、(現段階では)送付できない」というものだった。

代理人団は「国家機関であるにもかかわらず、国情院は真実を明らかにできる情報をなぜ隠しているのか?」「今回の裁判所の要請に対して、これ以上情報が欲しければあらためて公開を請求しろというのは、まともな対応ではない。たとえ請求したとしても、今回のような方法で時間を稼ぐ可能性が高い」と指摘している。

仮に国情院の言う通り再び公開を求めて提訴したとしても、タン氏側が勝訴して情報が開示されるまでには、おそらく数年がかかるだろう。

韓国世論の反応はいかに?

凄惨な虐殺の生存者に対して、韓国政府はこのように信じられない対応を取っている。その一方で、韓国の歴代大統領は、ベトナムとの首脳会談の場で謝罪の意を表明してきた。その言葉を参照しておこう。

2001年:金大中「本意ではなくベトナム国民に苦痛を与えてしまい、申し訳なく思う」

2004年:廬武鉉「我が国民は(ベトナム国民に対して)心の借りがある」

2018年:文在寅「両国の間の不幸な歴史に対して、遺憾の意を表明する」

韓国の盧武鉉元大統領[Photo by gettyimages]
 

この通り3人の大統領が事件に言及しているが、タン氏の代理人団は、「韓国政府は虐殺に関しては明確に謝罪していない」と指摘する。50年が経過してもまだ被害者は救済されていないため、タン氏のように、法廷で虐殺の全容を解明して韓国政府の責任を追及する以外に方法はない。

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