水素エンジンはハイブリッドのように大ブレイクするか?

トヨタは「ベンチがアホ」でも野球する
大原 浩 プロフィール

「水素エンジンハイブリッド」はあり得るか?

ちなみに、製鉄所などの副産物として生まれるものを除けば、現在使用されている水素のほとんどは化石燃料から製造される。電気自動車に使われる電気の大部分が化石燃料(あるいは環境にやさしくない原子力)で発電されるのと同じ構図だ。

4半世紀ほど前、ノートパソコンが普及し始めた頃は「水」(H2O)は海水に無尽蔵に含まれているから「水素は究極のエネルギー」だと言われ、「電池が切れると水道(ペットボトル)から水を入れればよいだけになる」という夢物語があった。

しかしながら、水の電気分解により水素を発生させることは、今でも産業界では一般的でない。電気分解に必要なエネルギーコストの方が、化石燃料から生み出される水素のコストよりはるかに割高だからだ。

言ってみれば「錬金術」が現代の科学で可能にもかかわらず、実行されないのと同じだ。現代科学では、LHC(CERNが建設した世界最大の衝突型円形加速器)のような超大型加速器を使い、2つの元素の原子核同士を猛烈なスピードでぶつけ、合体させることによって(自然界に存在しない)新たな元素を人工的に生み出すことは既に可能だ。

卑金属の元素を金に換えることも不可能ではないはずだが、超大型加速器の莫大な運営費用を使って「原子単位」の量の金を得ても経済的な意味は無い。

「水から水素を製造する」というのもこのような錬金術に近いと言える。だから、水素エンジンが普及しても、化石燃料から製造された水素を使うわけだから、「自分の家の前のゴミ(二酸化炭素)を、隣の家の前に掃き集める」以上の意味はない。だが、「アホなベンチ」に対抗するための方法としてはすぐれていると思う。

 

また、万が一「水から水素を製造することが可能」になれば、「水素エンジン」と「モータ―」を組み合わせた「水素エンジンハイブリッド」として、次世代自動車の本命として躍り出るだろう。

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