日本でのワクチン接種の様子[Photo by gettyimages]

日本人すら日本に帰国できない…原因は、先進国で断トツ遅れのワクチン接種

このままでは、世界から孤立する

日本人が、日本に帰国できない

日本でも、ようやく新型コロナのワクチン接種が始まった。米国などに比べて周回遅れなのは、ご承知の通りだ。先進国の中でワクチン接種がダントツに遅れる一方、入国審査は一段と厳格化された。このままだと、日本が世界から孤立しかねない。

政府は4月から、入国に必要な検疫体制の運用を一段と厳格にした。日本人か外国人かを問わず、厚生労働省が定めた様式の陰性証明を含む書類一式をそろえていない限り、入国できなくなった(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html)。

田村憲久厚生労働大臣[Photo by gettyimages]
 

実際、米国とオランダから帰国した日本人2人が4月19日、書類が不備だったために入国できず、出発地に送還される事態が起きた(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210420/k10012986131000.html)。「日本人なのに、日本に帰れず、送り返される」という異常な事件は、一部で「公権力の濫用ではないか」という批判を呼んだ(https://forbesjapan.com/articles/detail/41263/1/1/1)。

これは日本人2人のケースだったが、送還された人は他にもいる可能性が高い。とりわけ問題なのは、新型コロナに感染していないことを示す陰性証明だ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100177968.pdf)。入国する以上、陰性を証明するのは当然だが、話はそう簡単ではない。国によって、証明の様式が異なるからだ。

厚生労働省が求める様式は、まず採取検体が「鼻咽頭ぬぐい液」か「唾液」かを示す。検査法は「拡散増幅検査(RT−PCR法)」「同(LAMP法)」など8種類のどれか、検査判明日、検体採取日時などを記入し、最後に医師がサインする形になっている。

COVID-19に関する検査証明(サンプル)[厚生労働省ホームページより、https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100177968.pdf]
 

難しいのは「鼻咽頭ぬぐい液」という採取方法である。これは、細い綿棒を鼻の奥まで挿入して検体を採取する方法で、綿棒を少しだけ挿入する鼻孔ぬぐい液に比べて、被験者の負担も医師の手間も大きい。米国だと、これが最初のハードルになる。なぜか。

米国在住の知人によれば、米国では、いまや街のあちこちにある「テストセンター」で検査ができる。無料だ。ただし、その採取方法は「鼻孔ぬぐい液」であって、厚労省が求める「鼻咽腔ぬぐい液」ではない。だから、ここで陰性証明をもらっても、厚労省の様式に合わず、入国できない。

検体採取方法(大塚製薬のニュースリリースから、https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2020/20201030_1.html)

ちなみに、米国で「鼻咽腔ぬぐい液」による陰性証明を入手しようとすれば、医療機関に出向いて、1人200ドル前後の費用がかかる、という。

4月に日本人が送還されたニュースが報じられると、たちまち現地で話題になった。航空会社も対応を迫られ、いまでは米国出発時点で係員が書類をチェックし、厚労省の様式を満たしていないと、搭乗を断わられる、という。

日本に到着した後も、空港のチェックは非常に厳しい。ツイッターなどで拡散している情報によれば、書類チェックだけでも、飛行機を降りた直後、専用ゲートに到着後、質問表に答えた後など、繰り返し同じ書類をチェックされる、という。

入国した後も、自宅に直行とはいかないケースもある。たとえば、米国のある州から帰国した人は「3日間のホテル待機」を求められ、ホテルを出た後は、再び羽田空港まで戻って解散、となったようだ。なぜ、その州だけが特別扱いだったのかは、不明である。

日本の厳しい検査体制について、知人は語った。

「そもそも、私たちは米国でワクチンを接種済みです。書式が違うとはいえ、陰性証明もある。つまり、米国基準では『クリーン』なのです。日本はまだ『ダーティ』ですよね。どうしてダーティな日本が、クリーンな私たちを厳しく検査するんですか。話は逆じゃないでしょうか」

これには、なるほど、と思えた。ここが、いまの日本と米国の認識ギャップである。日本はまだ感染が拡大しているから、水際対策を厳しくしているが、少なくとも米国は感染抑え込みに成功しつつある。その事実と対応にギャップが生まれている。

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