不安は消えたけれど

「名無しの権兵衛の病気」は「ALS・筋萎縮性側索硬化症」という病名に落ち着きました。各所で書いたとおりに病名が分かってホッとしたというのが1番でした。それは感情で言うと「不安」が消えたからです。その時にホッとした感覚が強かったのは「ALS」という難病の事をまだよく知らなかったからだと思うのです。

病名が分かってホッとして、

「よし、ALS・筋萎縮性側索硬化症って病気か、難病なのか」
「それにしても言いにくい名前だな、覚えられるかな」
「このまま感覚があるままに身体が動かなくなるって、へぇ~っ、そうなのか」
「これから勉強してALSと闘ってやるぜ」

というようなレベルだったわけです。まだ何もALSの事など話せるわけもありません。

病名がわかり、闘ってやるぜ!のモードだった津久井さん。2019年12月 写真提供/津久井教生
リハビリに使っていた器具の一部。W杖でしばらく歩いてもいた。握力を維持したり、筋力を維持するための器具も。ただ、「維持する」リハビリとはまた違う闘いだと感じていく 写真提供/津久井教生
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それから時間が経ちました。体の異変に耐え切れずに整形外科に紹介状をかかりつけの医師に書いてもらって2年になります。4週間ちょいの長い検査入院でがっちりと調べてもらってALSと分かり、1年7ヵ月の間に自分の病状の進みかたと共に勉強してきました。

自分の前を歩いている先輩ALS患者の事もSNSなどを通じてたくさん知る事が出来ました。コロナウイルス騒動がなければ、直接お会いしていただろう素敵な方もたくさんいます。逆に言えばZoomなどでのコミュニケーションの発達でたくさんの情報を得られるようになってきたとも思います。

病名がわからないことによる「不安」は確かになくなりましたが、違う気持ちが交錯して戦っています。マイナスな気持ちは「恐怖」「絶望」で、プラスの気持ちは「希望」「受容」です。現役ALS患者として冒頭の「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明は、悔しいですが間違いないようです。冗談じゃなく本当に感覚が衰えることなく、足に引き続いて手も動かなくなっちゃいました。これはマイナスの気持ちです。しかし、多少衰えているとはいえ「声と呼吸の維持が出来ている」少し奇跡的な事のようです。これはプラスの気持ちです。

ええかっこしいは「感覚」「気持ち」を礎に、自分の事を皆さんにお伝えしていきます。

津久井さんが息子の悠生さんに「そえいけ!アンパンマン」のスタジオに連れて行ってもらったとき、田中真弓さんに遭遇! 写真提供/津久井教生

【次回は6月5日(土)公開予定です】

声優テクニックを伝えたい!~津久井さんのYouTube(津久井教生チャンネル)2021年5月に作られた動画はこちら。↓

津久井教生さんイベント登壇のお知らせ:5月15日(土)「患者さんに聞こう!ALSオンライン」というサイトにて「自分をプレゼン」というオンラインイベントが開催されます。津久井さんは5月15日15時から登壇予定です。詳しくは公式HPをご確認ください。